Solid Planetary Science Group Seminar
FY2015 first half

Thu. 10:00-12:00 @ISAS A-5F conference room

固体惑星セミナー憲章

April   -   May   -   June   -   July   -   August   -   September

April

May

2015-05-21 Kotaro Saida Tokyo Uni. presentation
地球内部構造と地震学的探査
 地球の内部構造は地表から地殻、マントル、外核、内核の4層に分かれている ことが知られている。
これは直接掘削したわけでも、見たものでもなく、推測されたものである。そこ で、地球の内部構造を観 測可能な情報から推測することになる。その良く用いられる手法の一つとして地 震学的探査がある。こ の手法は最も有力なものとも言われている。
 地球内部のある部分に破壊が生じると、その破壊の衝撃は弾性波として地球 の中を伝わっていく。 この弾性波が地震波(seismic wave)である。その地震波の屈折や反射、地震波速 度の変化から、地球 内部にある不連続面や物質の分布を調べている。また地震が生じると、震央から の距離や到達時間(走時) のデータが得られ、走時曲線を描くことができる。走時曲線には幾つかの種類が 存在し、グラフの形などに よって内部構造を決定するのである。
 私は今回、地震学的探査による地球内部構造の解析方法や研究、および地球 内部構造の概略につい ての発表を行う。

June

2015-06-04 Toru Matsumoto JAXA presentation
イトカワ粒子の表面微細構造から探るレゴリスの宇宙風化過程
探査機はやぶさにより、小惑星イトカワ表層からレゴリス粒子が採取され、小天体の 情報を物質科学的に分析することが可能となった。レゴリスは、太陽系の大気のない 天体表面に広く存在するため、固体天体表面の普遍的な描像を理解する上で、イトカ ワレゴリスの形成・進化過程を明らかにすることは重要である。イトカワ粒子の特徴 の中でも、粒子表面の微細構造は、レゴリスの形成・進化過程や宇宙風化の履歴を特 に保存していると考えられる。本発表では、これまで行われた粒子表面構造の系統的 な分類・解釈についての研究結果を発表する。
2015-06-18 Minako Hashiguchi JAXA presentation
炭素質コンドライト隕石中の同位体異常をもつ有機物の水素・窒素同 位体組成と産状
地球外有機物は,宇宙存在度が高い元素(水素や炭素,窒素,酸素)で構成されること から,原始太陽系星雲中の物質進化において重要な役割を担ったと考えられる.その ため,有機物の起源や進化を明らかにすることは重要である.地球外有機物の中 には, 地球物質と比較して著しく異なる水素・窒素同位体組成を示す (同位体異常をもつ) ものが存在する.このような有機物は,宇宙空間における極低温環境下で形成された 始原的な有機物と考えられており,その同位体組成は有機物の進化過程を探る上で重 要なトレーサーとなる.
本発表では,始原的隕石に含まれる同位体異常をもつ有機物について,水素・窒素同 位体組成と産状から,それらの形成および進化過程について議論した結果を発表 する.
2015-06-25 Keiko Yamamoto JAXA presentation
トリウム分布 データおよび地殻厚データを用いた月の高地地殻形成 過程についての考察
月の地殻の構造とその形成過程についての理解は、月の初期の熱進化を解明する 上で重要である。本研究では、月地殻 の形成過程についての手がかりを得るた めに、月の高地において、 SELENE の ガンマ線ス ペクトロメータから得られた トリウム分布マップと、LRO および GRAIL から得られた月の地殻厚マップとの 相関を 調査した。両者は基本的に良い逆相関を示したが、 トリウム分布がいく つかの極小点を持ち、それぞれの大きさの差はそれほど顕著でないの に対し、 地殻厚の極大点は大きさの差が顕著であった。 この差を説明するために、われ われは2段階の地殻形成のシナリオを考えた。

July

2015-07-02 Naoya Sakatani JSPS PD paper review
J. L. Bandfield, E. Song, P. O. Hayne, B. D. Brand, R. R. Ghent, A. R.Vasavada, and D. A. Paige, Lunar cold spots: Granular flow features and extensive insulating materials surrounding young craters, Icarus, 231, 221-231, 2014
LRO Diviner による月面温度の観測によって、若いクレーターの周りに夜間の温度が 周囲に比べて低い領域があることが明らかになった。この領域は cold spot と呼ば れ、クレーター半径の約 10 〜 100 倍の範囲に広がっている。本論文は、夜間の温 度冷却カーブからクレーター周囲のレゴリスの物性を推定し、LROC による高解像度 画像と組み合わせて cold spot の状況を調査したものである。Diviner のデータか ら、cold spot 領域のレゴリスは、周りのバックグラウンドに比べて低い密度を持っ ていることが分かった。一方で、cold spot のアルベドや maturity はバックグラウ ンドと違いはなく、中心クレーターからのエジェクタではないことが分かった。すな わち、cold spot は、クレーター形成イベントに伴う何らかのメカニズムによってレ ゴリスの表層 (10 cm 程度) のみが乱されたことによって形成したと考えられる。
2015-07-02 Kisara Uemoto Tokyo Uni. paper review
William M. Vaughan n, James W. Head, Impact melt differentiation in the South Pole-Aitken basin: Some observations and speculations, Planetary and Space Science, 91, 2014
月裏側のサウスポールエイトケン(SPA)盆地の内部は、分化したインパクトメルト シートが存在すると考えられている。本研究では、過去に推測されたSPAのメルトの ボリュームや他の盆地の直径とメルトシート面との割合から、SPAのメルトの厚さを5 0kmと仮定し、メルトが分化した後の層序と層厚をモデルで示した。これと、重力デー タやクレーターの中央丘のスペクトルデータから得た岩石層の厚さとを照らしあわせ た結果、最上層のnorite層の厚みが、観測とおおよそ一致した。この結果から、SPA の内側のnorite層は初期地殻ではなく、メルトの分化によってできたものと推測した。
2015-07-16 Yamato Horikawa SOKENDAI presentation
月惑星熱流量の精密観測に向けた計測システムの設計と熱伝導率測定精度の評価
月惑星表層における熱流量は天体内部の熱的な状態を反映しており、熱流量を精密に 観測することは、天体の熱進化や放射性発熱元素のバルク存在度を制約する上で重要 である。熱流量をその場で観測するためにペネトレータが開発されたが、ペネトレー タとレゴリスの熱伝導率の違いによって周囲に温度擾乱が発生し、熱流量測定値は不 確定性を持つ。本研究では、温度擾乱を避けた位置で熱流量を精密観測するために、 貫入プローブの構体表面からニードルプローブを伸展させるシステムの開発を提案し ている。今回は、計測システムに要求される性能を満たす候補機構の選定状況と、ガ ラスビーズを用いたニードルプローブ単体の熱伝導率測定精度の評価について紹介する。

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