Solid Planetary Science Group Seminar
FY2014 second half

固体惑星セミナー憲章

October   -   November   -   December   -   January   -   February   -   March

October

2014-10-20 Hajime Hayakawa JAXA presentation
Mercury : MESSENGER Results and BepiColombo 水星 : メッセンジャーの観測結果とベピコロンボ計画
紀元前から知られる水星は、「太陽に近い灼熱環境」と「軌道投入 に要する多大な燃料」から周回探査は困難であった。過去の探査は、 2011年3月に米国MESSENGERが周回軌道に入るまでは、同衛星の3回 (2008-2009)、米国マリナー10 号による3回のフライバイ観測(1974-5) のみであった。これらの探査は、この小さな惑星にはあり得ないと 考えられていた磁場と磁気圏活動の予想外の発見をもたらしたが、 その究明は30 年以上続く夢に留まってきた。耐熱技術の進展に代 表される技術革新が、ようやく大きな壁を取り除きつつある。 米国のMESSENGERは2004年に打ち上げられ、2011年3月より水星の周回 軌道にて水星の観測を続けており、様々な予想外の発見がもたらされ ている。これらの紹介および、MESSENGERの観測結果とBepiColomboと の関係、BepiColomboの現状などについて概説する。

November

2014-11-05 Takahiro Iwata JAXA presentation
深宇宙探査技術実験機DESTINYによる太陽系科学
イプシロンロケットによる小型衛星として提案している深宇宙探 査技術実験機 DESTINYの実証機では、10kg程度の理学観測機器を搭載し、太陽地球ラグラン ジュ点L2またはL1への遷移軌道中およびハロー軌道到達後に観測を行う計画であ る。また、DESTINY応用ミッションとして検討している、実証機に続く実用機や イプ シロン増強型を用いたミッションでは、探査可能範囲が金星・火星に拡が るとともに、ペイロード質量も増大する。これらの各フェーズで の太陽系科学 観測の可能性、ならびに具体的なモデルミッションの例について述べる。
2014-11-10 Shodai Iino Tokai Uni. presentation
中緯度帯のrillの下には地下空洞があるのか
 地球では溶岩が噴出し、流れきったことにより地下空洞となった、溶岩チューブというものがある。ハワイに多く見られ、日本で は富士山麓に見られる。月には溶岩によって削られたことによりできたrilleという溝が ある。月でも溶岩が流れたということから、地球と同様に、溶岩チューブのような地下空洞があるのではないかとされている。もし、地下空洞が存在す るのならば、月面基地の建設に適していると考えられているが、地下空洞は見つかっていない。地球上の溶岩チューブなどの特徴から基準をたて、月に 地下空洞がある可能性について述べる。
2014-11-10 Daiki Iwase Tokai Uni. presentation
火星の縦孔・地下空洞は、基地になり得るか
 火星では、磁場と大気が非常に少ないため、宇宙放射線被ばくや、隕石衝突の恐れがある。そこで、それらを避けるために、地下空洞に基地を作るこ とが必要になってくる。 今回は、5つの孔を候補に挙げ、どの孔が基地に適しているかを判断することを目的とした。地下空洞があるか、資源はあり得るか、安全なルートはあ るか、を判断基準とし、成果を述べる。
2014-11-10 Ryou Yasuda Tokai Uni. presentation
将来探査・基地建設の意義・可能性の観点からの月縦孔の比較検討
 月では、縦孔と呼ばれるクレーターとは異なる穴の存在が確認されている。縦孔はその形状や横に広がる地下空間が存在する可能性から、探査やルナベース設置の対象になりえる。200個以上見つかっている縦孔の中で、特に関心のある3つを比較する。
2014-11-17 Naomi Onose SOKENDAI paper review
J. M. Friedrich, A. E. Rubin, S. P. Beard, T. D. Swindle, C. E. Isachsen, M. L. Rivers, and R. J. Macke, Meteoritics & Planetary Science, 49, Nr 7, 1214-1231
形状並びに40Ar39-Ar年代測定結果から7セットの普通コンドライトの衝突史を調べた。これらの隕石は部分的に集積直後の古い空隙を保持しており、空隙率は10-20%である。これらの試料の粒子間には大きな空隙があるため、穏やかな形成過程のみを経ているとも考え得るが、我々はこれらがより複雑な衝撃史を持っているかどうかを調べた。殆どの試料では初期の集積の後にAr-Ar系が閉鎖したが、いくつかの試料では引き続き加熱されて熱変成が起こった。Sahara98034とMIL99301は例外的に後で加熱されたが、熱変成の時期はAr-Ar系に記録された。これらのコンドライト中のオリビン粒子には消光がみられ、あまり衝撃を受けていないショックステージ1を示唆するが、全てのサンプルには衝撃の痕跡もみられる。空隙率が高い事、比較的弱い圧密を受けたと考えられる事と衝撃や焼き鈍しの程度から、もしかしたら温かい状態で衝突があったのかもしれない。初期加熱の原因は、その前の衝突加熱かアルミ26の加熱あるいは両方である可能性がある。

December

2014-12-15 Naoya Sakatani SOKENDAI presentation
真空下での粉体物質の熱伝導率に関する実験的研究と微惑星熱進化への応用
太陽系形成初期から現在に至るまで、粉体物質は普遍的に存在しており、惑星の進化過程ではそれらの特性を理解することが重要である。 特に、真空下での粉体の熱伝導率は極度に低いことが知られており、天体の熱進化は粉体物質の熱伝導率に支配される。しかし、粉体の熱伝導率は粒径、温度、空隙率などの様々なパラメータに依存し、各パラメータ依存性、および熱輸送メカニズムの理解は不十分である。 本研究の目的は、パラメータコントロールされた粉体サンプルの熱伝導率を真空下で測定することにより、パラメータ依存性を系統的に調査し、真空下における粉体の熱輸送メカニズムを理解することである。 我々はこれまでにいくつかのガラスビーズサンプルを用いて温度、粒径、空隙率、圧縮応力、焼結度 (ネックサイズ) 依存性を調査した。 これらの系統的実験データから熱輸送メカニズムを考察し、各種パラメータ依存性を定量的に取り扱った熱伝導率モデルを構築した。また、構築したモデルのひとつの応用として、ダスト粒子で構成されている高空隙率微惑星の熱伝導率を推定し、熱進化計算を行っ た。 この結果からダスト粒子の焼結を含む微惑星の初期進化の描像について考察した。
2014-12-22 Yusuke Nakauchi SOKENDAI presentation
宇宙風化再現実験:太陽風プロトンの影響
大気のない天体表層は宇宙空間に暴露されているため、 宇宙空間に漂う微粒子の衝突や太陽風の照射により、 表面物質の光学的性質などが影響を受けることが知られている。
はやぶさ2ではNIRS3やONCを用いて表面物質の特定を検討しているが、 C型小惑星の宇宙風化作用による表面物質の光学的変化はわかっていない。 本セミナーでは、C型小惑星含有鉱物への太陽風を模擬したプロトン照射実験から 予測されるC型小惑星における宇宙風化の傾向などについて検討したものを報告 する。

January

2015-01-19 Shodai Iino Tokai Uni. presentation
月の中緯度帯のリルの一部には地下空洞が残っているか
月の表面には溝,または溝がつらなったような地形があり,リルとよばれている.リルは溶岩が流れたことにより地面が削られてできたものである. 地球では溶岩が流れたことにより,溶岩チューブという地下空洞が作られたとされている.リルも溶岩が流れたことによりできたということから,月に も地下空洞が存在する可能性がある.もし地下空洞が存在するのであれば,月面基地の建設に適していると考えられている.しかし,月に地下空洞は見 つかっていない.本研究では,地球上の溶岩チューブの様子などから基準をたて,調査領域を月の中緯度帯に限定し調査を行い,月の中緯度帯のリルの 一部に地下空洞が存在する可能性について述べる.
2015-01-19 Daiki Iwase Tokai Uni. presentation
火星の縦孔・地下空洞は、基地になり得るか
 火星では、磁場と大気が非常に少ないため、宇宙放射線被ばくや、隕石衝突の恐れがある。そこで、それらを避けるために、地下空洞に基地を作るこ とが必要になってくる。
 今回は、5つの孔を候補に挙げ、どの孔が基地に適しているかを判断することを目的とした。地下空洞があるか、資源はあり得るか(南緯 30°~50°、北緯30°以上での縦孔探査)、安全なルートはあるか、を判断基準とし、結果としては、5つの孔のうち、2つの孔が、基地として の可能性があると判断した。
2015-01-19 Ryou Yasuda Tokai Uni. presentation
将来探査・基地建設の意義・可能性の観点からの月縦孔の比較検討
人類は今までに月面基地設置には至っていない.月面基地は月での長期探査のための居住地として,また,探査で得た物質の研究をその場で行うため の施設として等,幅広く活用できる.本研究では,近年発見された「縦孔」が月面基地の設置場所として活用することができるのかというテーマで解析 を行う.今回は,探査機が縦孔付近に着陸した後の縦孔までのアクセスしやすさ,縦孔底の岩分布,地下空洞の存在や広さを指標として,静かの海の縦 孔,死の湖の縦孔,マリウスヒルの縦孔,この3つを対象に解析した結果を述べる.
2015-01-26 Kisara Uemoto Tokyo Uni. presentation
月裏側SPA盆地の鉱物・岩石分布から推定する月マントル組成
 月マントルの化学組成を理解すること は、地球マントルの組成との比較から月の成因の解明に繋がると考える。そこで本研究では、隕石衝突によって月地殻が大きくはぎとられ、月マン トルが露出している可能性のある(Spudis et al.2004)月最大の盆地South Pole-Aitken(以下SPA)に注目した。
 盆地内で月マントルの存在は未だ確認されていない。一方、盆地中心部は盆地の中でも最も掘削が大きく月マントルが露出している可能性が高い が、衝突の熱や圧力によって岩石が溶融しインパクトメルトになっていると推測されている(Lucey et al.1998)。このためインパクトメルトが月マントル組成を反映していると考えた。
 先行研究で、月周回衛星かぐや搭載のマルチバンドイメージャ(MI)より、盆地中心部にはHigh-Ca輝石(HCP)に富む岩石が 広く分布する窪地が存在し、そこがインパクトメルトの貯留した領域に相当することがわかった(Ohtake et al.2014)。しかし、このHCPに富む層の起源や、インパクトメルトの露出箇所は未解明である。
 本研究では、盆地内の鉱物や化学組成の分布を更に詳細に調査することにより、盆地内の垂直方向の構造(層厚、層序)を把握し、SPAの地質構造を推測 した。これにより、HCPに 富む層はSPAの インパクトメルトであること、またその分布が明らかになった。さらに、インパクトメルトは深さ約7kmを境に分化しており、上部がHCPに富む層、下部がLow-Ca輝石に富む 層であることもわかった。

February

2015-02-02 Syun Takita Tokyo Uni. presentation
TIRを用いた1999JU3の熱慣性推定に関する方法と期待される精度について
現在、観測量からどのようにして熱慣性を推定するかについての方法と期待され る精 度について検討している。
誤差評価には小惑星表面の熱的挙動を説明する数値モデルが必要であり、将来は 天体の複雑な形状を反映した熱計算が必要になることが予想される。
今回はその基礎となる球体形状で検討した結果について発表する予定である。
小惑星の表面凹凸に起因する散乱反射、輻射加熱や局所的にできる陰影で冷却す る効果などの複雑な境界条件がない場合で、自転軸および天体の軌道運 動を精 密に考慮した場合の結果となる。
なお、現在検討している複雑形状を取り入れた熱モデルについても現状を述べる 予定 である。
2015-02-09 Takahiro Oishi Tokyo Uni. presentation
年代計測装置CHRONICLE TOFMSの開発
現在、観測量からどのようにして熱慣性を推定するかについての方法と期待され る精 度について検討している。
誤差評価には小惑星表面の熱的挙動を説明する数値モデルが必要であり、将来は 天体の複雑な形状を反映した熱計算が必要になることが予想される。
今回はその基礎となる球体形状で検討した結果について発表する予定である。
小惑星の表面凹凸に起因する散乱反射、輻射加熱や局所的にできる陰影で冷却す る効果などの複雑な境界条件がない場合で、自転軸および天体の軌道運 動を精 密に考慮した場合の結果となる。
なお、現在検討している複雑形状を取り入れた熱モデルについても現状を述べる 予定 である。
2015-02-16 Yamato Horikawa SOUKENDAI presentation
熱流量プローブを用いた紛体物質の熱伝導率に対する精度評価
 月惑星表層における熱流量は、天体内部の熱的な状態を反映しており、その主な熱 源には放射性元素の壊変熱や天体集積時の熱エネルギーがある。したがって熱流量を 精密に観測することは、天体の放射性元素のバルク存在度や熱進化を制約する上で重 要である。熱流量をその場で観測するために、1~数 m の深さに埋設可能な高速貫入 プローブ(ペネトレータ)が開発された。しかし、ペネトレータとレゴリスの熱伝導 率の違いによってペネトレータ周囲に温度擾乱が発生し、熱流量測定値は不確定性を 持つ。そこで本研究では、温度擾乱を避けた位置で熱流量を精密観測するために、貫 入プローブの構体表面からニードルプローブを伸展させるシステムの開発を提案して いる。本研究はこれまで、月ペネトレータへの搭載性を考慮したニードルプローブを 試作し、レゴリス模擬物質としてのガラスビーズを用いた熱伝導率測定に関する検証 実験を行ってきた。今回は、実際のプローブの物性を導入した熱数学モデルによる数 値シミュレーションとインバーションによる解析を行い、熱伝導率の精度評価を行っ た結果について紹介する。

Back