Solid Planetary Science Group Seminar
FY2013 second half

Thu. 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

固体惑星セミナー憲章

October   -   November   -   December   -   January   -   February   -   March

October

2013-10-10 Satoshi Tanaka JAXA presentation
月惑星内部構造探査を進めるために
 月惑星内部構造を進めるためにはセンサーの開発だけでは不可能であり、それをハウジングするシステムが必要である。ペネトレータはそのために開発した一つの大きなシステムであるが、近年になって着陸機の搭載可能性も現実化してきた。SELENE-2では、地面に設置する「サバイバルモジュール」を開発したが、それに先立って、地中に埋設するシステムも開発を進めてきた。本セミナーでは自律型埋設装置の開発成果を報告し、今後の見通しについて言及する。
2013-10-24 Toru Yada JAXA presentation
はやぶさ帰還試料のキュレーション・研究について
 我々キュレーションチームは打ち上げ前のコンセプト・その後の検討委員会での議論を踏まえて、2008年3月に惑星物質試料受入設備を完成させた。その後、1年間の機能・性能確認、1年間のリハーサルを経て、2010年6月に小惑星探査機「はやぶさ」が帰還させた再突入カプセルの受入・試料の取り出しを行った。その後粒子の回収・初期記載を進め、現在までに400個を超える粒子の初期記載を終えた。
 初期記載を終えた試料について、2011年初頭に初期分析への試料配分を行い、同年末から打ち上げ前の協定に基づくNASAへの試料配付を、翌2012年からは国際公募研究の実施と試料配付を開始した。更に本年よりコンソーシアム研究・JAXA枠個別研究を開始した。
 セミナーではキュレーションチームが行っている上記のキュレーション(記載・保管・配布)作業と研究活動について紹介する。
2013-10-31 Naoki Kobayashi JAXA paper review
H. Fei, M. Wiedenbeck, D. Yamazaki, and T. Katsura, Small effect of water on upper-mantle rheology based on silicon self-diffusion coefficients, Nature, 498 (2013), 213-216.
 水は地球の内部の運動に大きな影響を与える存在であると従来考えられて来た.質量分率で僅か百万分の数十の水でさえオリビンの流動速度を何桁も上げることが実験で示されて来た.しかし,これまでの実験では水の含有率の範囲が狭いこと,自然界では見られない高変形実験に限られて来た.この論文ではシリコンの自己拡散係数を幅広い水の含有率に対して上部マントルの圧力,温度条件に対して求め,自己拡散係数の含有率の依存性が以前考えられたものより小さいことを示した.マントル温度下では岩石の変形速度は自己拡散係数の小さい元素の拡散によって決まるため,上部マントルのレオロジーに与える水の影響は僅かなものであると帰結される.このことは,プレートテクトニクス,アセノスフェアの低粘性ゾーンの理解,ホットスポットの不動性に対する従来の解釈(水による柔化作用)を真っ向から否定する結果である.
2013-10-31 Masahiko Hayakawa JAXA presentation
「はやぶさ2」衝突体(SCI)爆薬部飛翔確認試験速報
 「はやぶさ2」は一時噛み合わせ試験が終わり、近々始まるフライトモデル総合試験に向けて、各サブシステムがFM単体品製作および試験の真っ最中である。2号機から採用されたSCI(Small Carry-on Impacter)は新規サブシステムで、「はやぶさ2」本体から切り離された後、爆薬に点火し銅の弾丸を小惑星1999JU3表面に打ち込むためのものである。
 2013年10月中旬にSCIの爆薬部のFM相当品の最終性能確認試験が行われたのでホカホカの速報をお届けする。SCIによって小惑星に打ちこまれる弾丸の重さは約2kg、衝突速度は約2km/sec というスペックである。
 また、このような大規模な衝突(実験)はそうそう行なえないので、衝突現象の解明という立場からも、実験室と宇宙空間を繋ぐ実験としても位置付けることができ、SCIサイエンスチームとして着弾点でクレーターのできる様子を高速度カメラ、赤外線カメラ、加速度計、地震計などで撮影・計測を行った。速報としてダイナミックな映像をお見せする。

November

2013-11-07 Ryunosuke Imaeda Tokyo Univ. M2 presentation
月面マリウス丘における玄武岩質溶岩噴出の時間遷移に関する研究
 「マリウス丘火山複合体」は, 嵐の大洋中央に位置する月面で最も若い火成活動を示す海の領域と近接する月最大の火山である. 故に周辺の海とマリウス丘の火成活動期の前後関係を解明する事は, 月の熱史の理解に対し重要な鍵となる. 一方で, マリウス丘の正確な形成史は未だ明らかになっていない. 本研究ではマリウス丘の正確な形成年代を調べるため, 月周回衛星SELENEに搭載されたMIの分光画像によりマリウス丘の地質を詳細に分類した上で, TCの画像を利用しクレータ年代学に基づく溶岩噴出時期の推定を行った. 結果, マリウス丘では約38億年から多地点で断続的に溶岩が噴出し, 約23億年前まで継続していた事を明らかにした. 同時にマリウス丘上で噴出した大部分の玄武岩のスペクトル特徴が, 周囲の海(嵐の大洋)の特徴と異なる事も見出した. 本発表では, マリウス丘における噴出活動の時期と周囲の海との組成の差異持つ意味について議論を行う(惑星科学会抄録、加筆修正).
2013-11-15(金) Junichi Haruyama JAXA paper review
R. Klima, J. Cahill, J. Hagerty, and D. Lawrence, Remote detection of magmatic water in Bullialdus Crater on the Moon, Nature geoscience, 6 (2013), 737-741.
 インド月探査機チャンドラヤーン1号に搭載されたM3データで、月のBullialdus Craterの中央丘頂上に、2.8µmの吸収が見られた。これはOH-に起因すると思われるが、著者らは、このOHをマグマ起源の水に由来するものだと主張する。
 その根拠は?そして、それが意味することは?
 本論文をベースに、月の水について議論したい。
2013-11-29(金) Aoi Aritomi Tokai Univ. B4 presentation
月火成活動の終焉期の再調査
 月面の年代を知ることは月の熱史を知る手がかりであり、特に年代が若い領域を調査することは火成活動の終焉を知る意味で重要である。
クレーター年代学による月面年代測定はこれまでも行われてきたが、カメラ解像度の低さなどの理由により測定が不十分と考えられる領域があった。
本研究では、先行研究で測定された領域における若い年代領域の発見を目的に細かに再調査することで、月の火成活動終焉の年代更新を行う。
また火山の噴出のピークが35億年代付近の他に20数億年にもあったとされている。測定の結果から、20数億年の噴出ピークがあった領域の拡張についても述べる。
2013-11-29(金) Hiroaki Kimura Tokai Univ. B4 presentation
クレータ崩壊状況による地質ユニット年代測定法の研究
 本研究は、クレータの崩壊状況から地質ユニットの年代を測定する方法を発見するための研究である。月面の年代を測定することは、測定した場所が今までどのような歴史をたどってきたのか、そしてこれからその場所がどのような進化をしていくのかを知ることができる。現在、クレータサイズ頻度分布による測定法が存在しているが、この方法は2次クレータの影響を受けてしまう場合がある。本研究では、クレータの崩壊状況、つまりクレータの直径と深さの比から積算フラックスを測定し、測定された積算フラックスと年代の相関関係を調べ新たな年代測定法を発見する。この年代測定法では2次クレータからの影響がほぼ無いためクレータサイズ頻度分布測定法から測定された年代が正しいかどうかということも確かめることができる。より正確な年代測定を行うためにもこの測定法を発見することは重要である。

December

2013-12-05 Yoshiaki Ishihara JAXA presentation
かぐやの測月観測
 2007年に打ち上げられ、2009年に運用を終えた日本の月周回衛星かぐやでは、月周回軌道上から様々なリモートセンシング観測が行われた。本発表では、私がCo-Iの一員として関わってきた、かぐやの月地形・重力場計測の概要と、これまでに得られた成果を概説する。また産総研在職時に、かぐやのスペクトルプロファイラーデータの検索や簡易データマイニングを行えるTSUKUYOMIというWebアプリを開発したので、あわせて紹介したい。
2013-12-12 Ryunosuke Imaeda Tokyo Univ. M2 presentation
(第2回中間発表)月面マリウス丘における玄武岩質溶岩噴出の時間遷移に関する研究
 「マリウス丘火山複合体」は, 嵐の大洋中央に位置する月面で最も若い火成活動を示す海の領域と近接する月最大の火山である. 故に周辺の海とマリウス丘の火成活動期の前後関係を解明する事は, 月の熱史の理解に対し重要な鍵となる. 一方で, マリウス丘の正確な形成史は未だ明らかになっていない. 本研究ではマリウス丘の正確な形成年代を調べるため, 月周回衛星SELENEに搭載されたMIの分光画像によりマリウス丘の地質を詳細に分類した上で, TCの画像を利用しクレータ年代学に基づく溶岩噴出時期の推定を行った. 結果, マリウス丘では約38億年から多地点で断続的に溶岩が噴出し, 約23億年前まで継続していた事を明らかにした. 同時にマリウス丘上で噴出した大部分の玄武岩のスペクトル特徴が, 周囲の海(嵐の大洋)の特徴と異なる事も見出した. 本発表では, マリウス丘における噴出活動の時期と周囲の海との組成の差異持つ意味および、地下構造に関する議論を行う.
2013-12-12 Shoko Tsuda Tokyo Univ. M2 presentation
(第2回中間発表)微惑星の熱進化推定にむけた焼結体の熱伝導率測定実験
 惑星形成初期の微惑星の熱進化を解明する上で、微惑星物質の熱伝導率は重要なパラメータである。しかし、熱進化過程を経て粒子同士がわずかに接着したダスト焼結体の熱伝導率は測定例が少なく、またパラメータ依存性が分かっていない。本研究では、ダスト焼結の効果を適切に取り入れた微惑星熱史の推定を行うため、焼結体の熱伝導率を直接測定した。その結果、焼結体を構成する粒子の粒径によらずネック比 (ネック半径と粒子半径の比) と熱伝導率の間には直線的な関係が見られた。このことから、焼結を考慮した微惑星の熱進化を計算するときにはネックサイズは微惑星の熱伝導率を制限するのに重要なパラメータとなると考えられる。
2013-12-19 Yusuke Nakauchi Sokendai M2 presentation
(第2回中間発表)C型小惑星含有鉱物における太陽風プロトンの影響
 近年の月探査において、太陽風起源の-OH基やH2Oの存在が明らかになった[Pieters et al. 2009]。このことは、水の蒸発や含水鉱物が変成する温度付近にまで高温になると考えられている地球近傍小惑星においても、-OH基やH2Oが生成・保持されていることを示唆している。
 本研究では、C型小惑星に存在すると考えられる鉱物に太陽風のエネルギーを模擬した水素イオンビームを照射し、-OH基やH2Oが生成されるのかを近赤外反射スペクトルの測定によって検証した。用いたサンプルはOlivineとSerpentineである。無水鉱物であるOlivineへの照射では照射前に比べ反射スペクトルの3um帯が緩やかに変化していた。結晶構造中に-OH基を持つSerpentineでは-OH基の結合状態に由来する吸収バンドにおいて顕著な変化が見られた。以上の結果から、ケイ酸塩応物中でのプロトンの結合作用などについて考察する。
2013-12-19 Naoya Sakatani Sokendai D2 presentation
(第2回中間発表)惑星表層の熱伝導率構造の制約に向けた真空下における粉体の熱伝導率測定実験
 月や小惑星表層はレゴリスで覆われており、その熱伝導率構造を知ることは天体の熱進化および内部構造進化を探るために重要である。ただし、特に真空下における粉体物質の熱輸送メカニズムは十分に理解されていない。本研究は真空下において粉体の熱伝導率を測定しパラメータ依存性を調査することによって、粉体の熱輸送メカニズムの理解およびモデル化を目的とする。今回はガラスビーズを用いた熱伝導率の粒径、温度、および圧縮応力依存性に関する実験を紹介し、それらを総合した熱輸送メカニズムを解釈を行った。また、球同士の接触熱伝導と表面間の熱輻射を含んだ簡易的な熱伝導率モデルを作成し、それらと実験結果の比較を行った結果についても紹介する。

January

2014-01-17(金) Aoi Aritomi Tokai Univ. B4 presentation
(卒論直前発表)月火成活動の終焉期の再調査
 月面の年代を知ることは月の熱史を知る手がかりであり、特に年代が若い領域を調査することは火成活動の終焉を知る意味で重要である。
 本研究では、先行研究で調査された領域をMIデータを用いて細かに再調査することで、月の火成活動終焉の年代更新を行う。
 また火成活動が大規模に発生するいわゆるマグマの一斉噴出は、35億年代付近の他に20数億年にもあったとされている。測定結果から噴出箇所の位置関係を見ると、この大規模噴出は全球的に発生したと考えられる。考えられる全球的大規模噴出の原因の一つとして月の収縮活動がある。この仮説を踏まえた上で、火成活動の終焉期から考えられる月の冷却過程の仮説を立てる。
2014-01-17(金) Hiroaki Kimura Tokai Univ. B4 presentation
(卒論直前発表)月面クレータ崩壊状況による地質ユニット年代測定法の研究
 月面領域の年代を測定することは,月の内部でいつどのような活動があったのかを知るために必要である.
 なぜならば,月内部に存在するマグマが噴出し月面に海を形成するからである.
 月面領域の年代を測定してその領域の物質情報がわかれば,どのような時代にどのような活動が起こったのかを知ることが出来る.
 まずは年代を正確に測定する必要がある.月面領域の年代測定にはクレータサイズ頻度分布測定法が良く用いられている.
 しかし,この測定法は2次クレータの影響を受けることがあり正確な年代を測定できない場合がある.
 そこで,クレータサイズ頻度分布測定法の結果をチェックできるような新しい測定法を考察したい.
2014-01-23 Kisara Uemoto Tokyo Univ. D2 presentation
月裏側SPA盆地の鉱物・岩石分布から推定する月マントル組成
 月South Pole-Aitken(以下SPA)盆地は、月最大の衝突盆地と言われており、隕石の衝突によって月の地下深くまで掘削を受けたため、月地殻ははぎとられ、月マントルが露出していると考えられている。そのため、その地域の地質構造や鉱物・化学組成を調べることは、月内部の組成や構造を理解することに繋がると考えられる。本研究では、かぐや搭載マルチバンドイメージャ(MI)のスペクトルデータを主に使用しSPA内側の鉱物分布を詳細に調べることで、月マントルの露出領域を同定し、その場所の鉱物・化学組成を調べ未だ明らかにされていない月マントルの組成を解明することを目的としている。SPA盆地中央には、隕石衝突時の熱や圧力により月地下の物質が溶融したインパクトメルトプールが生成されていると考えられている。このインパクトメルトがSPA生成の際露出した月マントルの組成を反映していると考え、これまではこのインパクトメルトプールのおおよその場所について推定した。今回はそのインパクトメルトプールの鉱物分布をより詳細に調査した結果をその結果に対する考察と共に報告する。
2014-01-30 Kei Shirai JAXA presentation
はやぶさ2搭載小型搭載衝突装置と分離カメラによるサイエンス観測
 はやぶさ2に搭載される小型搭載型衝突装置(Small Carry-on Impactor:SCI)は, 探査天体であるC型小惑星1999JU3に対し、2km/sで2kgの銅製ライナ(弾丸)をで衝突させる装置である。この衝突により小惑星表層下の物質を暴露しそのサンプル回収を目論むとともに、衝突イジェクタや形成されるクレーターそのものを観測することが計画されている。これらの観測による成果は太陽系進化の鍵である天体衝突現象の理解が進むものと期待される.
 本発表では、SCI衝突のその場観測によるサイエンスを達成するための観測装置である分離カメラ(Deployable Camera 3: DCAM3)のデジタル光学系の開発・試験状況を報告する。

February

2014-02-14(金) Masanao Abe JAXA presentation
はやぶさとはやぶさ2のキュレーション
 ESCuTe(Extraterrestrial Sample Curation Team)では現在もはやぶさサンプルの回収と、記載、分配、保管作業を行っている。これまで400粒程度の粒子を回収し、その半分程度を所外の研究者の分析研究へと提供してきた。サンプルの全容解明までには後2年程度かかる予定である。
 初期分析終了後に開始された国際公募研究も進められているが、一方で、大きな粒子や、貴重な鉱物を含んだサンプルについては、一研究者による分析のみで消費しつくしてしまう訳にはいかず、新しい分析研究の枠組みとして、コンソーシアム研究を進めるなど、利用促進のための活動も行っている。
 ESCuTeは地球外サンプルを大気に晒すことなくハンドリング行うことができ、世界的にもユニークな特徴を持つ。この特徴を活かして、さらなる技術開発も進めている。また、はやぶさサンプルが極微小であったことから、粒子汚染や有機物汚染防止にも特に気を遣っており、その洗浄方式や汚染管理技術をはやぶさ2受入にもつなげる様に意識している。
 セミナー発表では、これまでのはやぶさキュレーション活動をレビューし、はやぶさ2キュレーション活動の展望について紹介する。
2014-02-20 Kisara Uemoto Tokyo Univ. D2 paper review
R. Potter, G. Collins, W. Kiefer, P. McGovern, D. Kring, Constraining the size of the South Pole-Aitken basin impact, Icarus, 220 (2012), 730-743.
 South Pole-Aitken(SPA)盆地は月で最も大きく最も古い明確な衝突構造である.この巨大な盆地がどのように形成されたかを理解すべく、本研究では様々な衝突物のサイズ、衝突速度、リソスフェアの温度勾配で、SPA盆地規模の数値衝突シミュレーションを導きだした.そして最もよく合う盆地形成衝突のシナリオを制約するために、そのモデルと観測によるSPAのデータとを比較した.その結果、SPA規模の衝突の掘削深度と直径の比は、すべての衝突のシナリオと変わらないとわかった.つまりこれは、SPA規模の衝突でもクレータースケーリング則に従うということを示唆している.また、表層近辺の急な温度勾配と月内部の高い温度は、盆地形成過程や盆地構造、衝突によって生成されたメルトのボリュームに大きく影響する.先行のSPA規模の衝突の数値研究に従うと、地殻物質はもっぱら盆地から除去され、マントル組成が支配的な大規模なメルトプールが代わりに占めている.この厚いメルトシートで分化がおこったと仮定すると、盆地の観測データを使って、~4×1026J(直径170km、秒速10kmの衝突物)のエネルギーでSPA盆地が形成されたというシナリオを見いだすことができた.
2014-02-20 Yamato Horikawa Sokendai D1 paper review
S. Nagihara, M. Hedlund, K. Zacny, P. Taylor, Improved data reduction algorithm for the needle probe method applied to in-situ thermal conductivity measurements of lunar and planetary regoliths, Planetary and Space Science (2014) in press.
 地球型惑星表層におけるレゴリスの熱伝導率を測定する方法として、ニードルプローブ法(線加熱法と同義)がよく用いられる。しかし、月レゴリスの熱伝導率は非常に低いので、ニードルプローブ法による測定時間は長くなる。長い測定時間はプローブ軸方向の熱リークを引き起こし、熱伝導率測定精度に影響を与える。そこで本論文では、測定時間を最小化するために、熱モデルの厳密解を使用することでニードルプローブ法を改良したデータ還元アルゴリズムを開発した。そして熱物性が既知の月レゴリスシミュラントを用いたニードルプローブ実験を行い、そのデータに新しいアルゴリズムを適用することで、従来の方法との整合性を確認した。その結果、1000Pa以上の圧力下において、2つの方法で得られた熱伝導率値は3%以内で適合することが分かった。そして今回の方法による測定時間は従来の方法と比較して1オーダー分短くなると分かった。この結果は、観測時間が限られているその場熱伝導率観測に対して役立つ。
2014-02-27 Tatsuaki Okada JAXA presentation
熱赤外カメラによる小天体探査:TIRの現状
 はやぶさ2に中間赤外カメラTIRが搭載される.これは小惑星表面からの熱放射を2次元撮像する装置であり,表層温度や熱物性を調べることができる.これまで小天体探査でTempel-1やHartleyの表層温度が測定(ただし4μ帯の立ち上がりで測定)され,小天体の表層に関する新しい知見を得ている.この手法はわれわれのよく知らない小天体の表層物理状態を遠隔的に調べるのに適している.発表では今後期待される熱赤外撮像による科学とTIRの開発現状について報告する.

Back