Solid Planetary Science Group Seminar
2010 second half

Wed 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, Hayakawa, and Okada Laboratory,
Planetary Science Group,
Institute of Space and Astronautical Science,
Japan Aerospace Exploration Agency.

固体惑星セミナー憲章

October   -   November   -   December   -   January   -   February   -   March

October

2010-10-13 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 paper review
J.W. Head, Transition from complex craters to multi-ringed basins on terrestrial planetary bodies: Scale-dependent role of the expanding melt cavity and progressive interaction with the displaced zone, Geophysical Research Letters 37 (2010) L02203.
複雑クレーター (中央丘ができるようなクレーター) や多リングクレーター (ピークリングができるようなクレーター) の地形的違いの要因、 および惑星のインパクトベイスンにおける複数のリングの起源は、未だよく解明されていない。 インパクトクレーターの衝突した基の地盤の地質的性質や、 衝突物質の性質、天体ごとの重力の違い、 衝突物のサイズや速度によるクレーター形成過程の違いなどによって、 どのようにこういったクレーターの地形的相違やリングの複数化が起こるのかもわかっていない。 本論では、最近のインパクトクレーター形成学の研究から、 クレーターの複雑化への遷移の形態や特徴を説明し、 これらの遷移の地質学的過程モデルを探究する。
2010-10-13 Kiyotaka Ito Tokyo Univ. M1 paper review
G.Y. Kramer, B.L. Jolliff, and C.R. Neal, Distinguishing high-alumina mare basalts using Clementine UVVIS and Lunar Prospector GRS data: Mare Moscoviense and Mare Nectaris, Journal of Geophysical Research 113 (2008) E01002.
アポロやルナにより採集された月面岩石サンプルの中には、 High-Alumina (HA) mare basalt と呼ばれるユニークな岩石グループが存在する。 HA mare basalt は比較的古い火成活動による噴出物であると考えられており、 本論文では、その全球的な分布をクレメンタインやルナ・プロスペクターの観測結果を用いて調べた。 特に、モスクワの海と神酒の海に対して詳細な探査を行い、 HA mare basalt とみられる basalt unit を発見した。
2010-10-20 Tomokatsu Morota JAXA presentation
後期重爆撃期は本当にあったか? 〜月裏側の衝突盆地の層序からの検証〜
月から持ち帰られた岩石サンプルの年代測定に基づいて、 Tera et al. [1973; 1974] は39億年前に 「後期重爆撃期」と呼ばれる天体衝突頻度のピークがあったとする説を提案した。 しかし、この説に反対する月研究者は多く、 持ち帰られた岩石サンプルは少数の衝突盆地の年代を反映しているだけ、という解釈もある。 一方、最近では後期重爆撃期の原因として、 太陽系初期に起きた巨大ガス惑星軌道の移動と関係づける説もだされるなど、 後期重爆撃期の有無は太陽系進化に関わる重要問題となっている。 本研究では、「かぐや」地形カメラで得られた画像データを用いて、 月の裏側にある衝突盆地の形成年代の推定を行った。 その結果に基づいて、後期重爆撃期仮説の検証を行う。
2010-10-25 Mon 15:00 Yosuke Inoue Tokyo Univ. M2 presentation
(修論中間発表) 月惑星表層元素分析のためのガンマ線半導体検出器の開発
2010-10-25 Mon 15:00 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 presentation
(修論中間発表) 鉱物・岩石分布から推定する月 South Pole-Aitken 盆地の形成過程

November

2010-11-10 Hiroaki Shiraishi JAXA presentation
月面軟着陸機搭載用地震計の開発試験について
JAXA の SELENE-2 ミッションと NASA JPL の Lunette ミッションに搭載提案している広帯域地震観測システム (Lunar Broadband Seismometer System, LBBS) は、 短周期地震計・長周期地震計・計測回路系およびレベリング装置から構成されていて、 フランス・ドイツ・スイスの各研究機関と共同で開発を進めている。 初期開発フェーズの一環として、 今年度から開始している各機器の BBM モデルを用いたインターフェース試験についてその概要と技術的課題について報告する。
2010-11-17 9:50 Masanao Abe JAXA presentation
はやぶさ回収サンプルのキュレーション作業
世界で初めて小惑星からの試料採取を試み、 地球帰還に成功した探査機「はやぶさ」の回収カプセルが 2010 年 6 月に無事回収された。 約 1 年にわたって実施されているキュレーション作業の経緯および最新の状況について報告する。
2010-11-24 Axel Hagermann Open Univ. presentation
Making sense of spacecraft data - methods and results for Huygens SSP
The Huygens probe descended through Titan's atmosphere in January 2005. On board was the Surface Science Package (SSP), a set of 9 sensors, including a speed-of-sound sensor. A detailed description of the SSP speed of sound instrument and its measurements will be given. I will then present the methods used to extract information from the sensors. First I will focus how a priori knowledge of sensor characteristics was used in a Bayesian approach to constrain the measurement and subsequently the methane content in Titan's lower atmosphere. Our measurements yielded a most likely methane fraction in Titan's lower atmosphere of approximately 2% at 10 km, increasing to 3.5% at lower altitudes, based on a binary composition. Our data showed that any large scale variation of methane within the lower 11 km of Titan's atmosphere is unlikely. Moreover, I will present the original data analysis strategy for an alternative landing scenario and outline implications for future space missions.

December

2010-12-01 Naoya Sakatani Titech M1 paper review
Kenji Kawai and Taku Tsuchiya, Temperature profile in the lowermost mantle from seismological and mineral physics joint modeling, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 29 (2009) 22119--22123.
地球内部の温度構造の推定は地球の熱的進化、ダイナミクスを理解するうえで重要である。 本論文では観測された地球のマントル最下部 (D" 層) の S 波速度構造を、 鉱物学的データから推定されるS波速度構造と比較することにより、 その温度構造を制約した。 また、コア-マントル境界では約 2% のS波速度の不均質性が存在するが、 その原因について温度の違いという観点から考察している。
2010-12-08 Takahiro Iwata JAXA presentation
宇宙測地学的手法による火星回転変動計測
火星の回転変動には、主に太陽潮汐等のトルクに起因する歳差・章動と、 主に大気・極冠結合系の短期変動に起因する極運動・自転速度変動がある。 これらを、4ウェイドプラ計測や逆 VLBI などの宇宙測地学的手法によって計測することにより、 内部・表層サブシステムに制約を与えることを試みる。
2010-12-15 Satoshi Tanaka JAXA presentation
月ペネトレータの開発成果と今後の活用にむけて
平成 19 年 1 月に LUNAR-A ミッションがキャンセルとなったがペネトレータの開発は続行して行ってきた。 今年 8 月には開発の総まとめとも言える貫入試験を実施した。 これまでの開発成果と今後の活用にむけた展望を述べる。
2010-12-22 Yosuke Inoue Tokyo Univ. M2 presentation
(修論事前発表) 月惑星表層元素分析のためのガンマ線半導体検出器の開発
2010-12-22 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 presentation
(修論事前発表) 「かぐや」マルチバンドイメージャによる月 South Pole-Aitken 盆地の鉱物分布からみる盆地構造

January

2011-01-12 Taichi Kawamura Tokyo Univ. D2 presentation
アポロ長周期・短周期月震計を用いた月震波シグナルの "広帯域" スペクトル解析
月の起源や進化を考える上でその内部構造は必要不可欠な情報である。 さまざまな手法により月の内部構造の推定が行われているがその中でも月震波解析は最も有効な手段の一つである。 アポロ計画で得られた月震データからは月の地殻の厚さ、 地殻マントル内の月震波速度モデルなど重要な情報が得られ、 月科学への貢献も大きいが月震観測は「観測ネットワークの配置」「観測機器の感度」という二つの制約があり、 月の内部を完全に見通すことは出来なかった。 本研究ではこの二つの制約のうち「観測機器の感度」について新しいアプローチを試み、 より詳細な月震波解析を試みる。 アポロの月震観測は長周期 (LP、水平 2 軸 + 鉛直)、 短周期 (SP、鉛直のみ) の2種類、4成分の月震計を用いて行われた。 過去の解析では多くの場合最も S/N がよい成分のみを用いた解析が行われていたが 周波数解析においては LP、SP のみでは帯域が狭すぎるため、 月震波シグナルの周波数特性を十分に理解することは出来なかった。 そこで LP と SP がどちらも鉛直方向の振動を観測している点に注目し、 二つのデータを組み合わせることでより LP、SP の両方の帯域を観測した連続スペクトルを推定することを試みた。 これにより、これまでよりも広帯域の情報から月震波シグナルの周波数特性を知ることが出来る。 月震の周波数特性は月震の震源メカニズムや月内部の月震波の減衰を知るための重要な制約であり、 それをより詳細に調べることは月の内部に対する理解を深める上で重要である。 今回の発表では LP、SP を組み合わせた連続スペクトルを用いた隕石衝突、 浅発月震の周波数特性の推定の初期成果について報告する。
2011-01-26 Shingo Kobayashi JAXA paper review
I. Garrick-Bethell, F. Nimmo and M.A. Wieczorek, Structure and Formation of the Lunar Farside Highlands, Science 330 (2010) 949-951.
月科学において月裏側高地の形成は長い間未解明の問題であった. 我々は月裏側高地の標高と地殻厚が degree-2 のルジャンドル多項式で表せることを見つけた. そしてまた月の裏側高地だけが唯一 degree-2 の構造をもっている. このように月裏側高地を構造を定量化し月の裏側と表側を統一的に考えることで, 月地殻構造,月表側の火成活動,放射性元素とがそれぞれ関連性をもっていることがわかった. 月裏側高地の標高は月形成初期に潮汐でできたバルジが固化したという説では説明ができない. しかし,現在のエウロパの氷地殻のように月の初期地殻がマントルとマグマオーシャンを挟んで切り離され時代に, 潮汐による発熱の場所による違いが原因となって現在の月裏側地殻の厚さや標高はできたのかもしれない.

February

2011-02-02 Tokuhiro Nimura Tokyo Univ. D3 presentation
可視・近赤外反射スペクトルモデルを用いた 6 Hebe、433 Eros、25143 Itokawa の宇宙風化度および組成の推定
鉱物の吸収帯の特徴を組み込んだ、修正ガウス関数モデル・鉱物混合モデル・宇宙風化モデルの統一モデルを構築した。 そして、そのモデルを3つの小惑星 (6 Hebe、433 Eros および 25143 Itokawa) の可視・近赤外反射分光データに応用し、 解析で推定されたそれらの表面組成が隕石中に豊富な H コンドライト (6 Hebe) および LL コンドライト (433 Eros、25143 Itokawa) に対応することを示した。 さらに各小惑星のレゴリスについて、 宇宙風化作用 によってできた蒸着層の厚さおよびその層内の npFe0 の体積濃度を個別に決定した。 その結果、3つの小惑星の間で蒸着層の厚さと npFe0 の体積濃度に違いがあるということを新たに発見した。 今回は、モデルの構築法、モデルの小惑星の可視・近赤外反射スペクトルへの応用、そして、 得られた結果の解釈を発表する。
2011-02-09 10:00 Akio Fujimura JAXA presentation
2011-02-16 10:00 Tatsuaki Okada JAXA presentation
はやぶさ2と小惑星表層熱物性観測
微小重力天体である小惑星表層の物理状態は未知である。 しかし太陽系天体の形成過程では、微小重力のもとでの集積過程を経験している。 表層での堆積状態、内部での圧密状態は分からない。 理論計算による惑星形成過程では適当に仮定しているに過ぎない。 小惑星探査では、行って見る「発見」が科学的知見に直結する。 Itokawa でもそうであり、次もまた期待される。 はやぶさ2では、はやぶさで実施しなかった熱物性から表層物理状態をさぐることを考える。 具体的には熱赤外の撮像装置を使用する。 自転とともに温度変化、また変動の時間的ずれが生じる。 熱慣性で代表される物理量だが、それと可視カメラ撮像などと合わせて物理状態を調べる。 この計画についての現状を議論する。
2011-02-23 Takefumi Mitani JAXA paper review
K. Righter, Does the Moon Have a Metallic Core ? Constraints from Giant Impact Modeling and Siderophile Elements, Icarus 158 (2002) 1--13.
月が小さな金属コアを持つかどうかについて、最近得られた情報、すなわち、 月形成に関する力学的モデル、コアサイズへの観測的制約、 高温高圧下での金属-ケイ酸塩の分配係数、に基づいて再検証する。 本研究では、分化した衝突天体または原始地球から月が形成され、 その後月において金属コアが形成されるというシナリオで、 月の親鉄性元素の量が説明できることを示した。 この結果とあわせて、地球化学的・地球物理学的考察から非金属コアの可能性は少ないこと、 地球物理学的な多くの観測的証拠があること、 全てを考慮すると月は小さな金属コアを持つと予想される。
2011-02-23 Naoya Sakatani Titech M1 paper review
J. Ristema, W. Xu, L. Stixrude, and C. Lithgow-Bertelloni, Estimates of the transition zone temperature in a mechanically mixed upper mantle, Earth and Planetary Science Letters 277 (2009) 244--252.
地球のマントルは海嶺で basalt と harzburgite に分化し、 層構造を成したリソスフェアは海溝でマントルに沈み込む。 マントルを basalt と harzburgite の混合物と考えたときに、 それらの成分が完全に均質な状態にあるマントルと、 そうでないマントルについてモデルを作成し、 遷移層中の地震波特性が異なることを示した。 更に地震波観測データを用いて、マントルの温度分布を各モデルで推定した。

March

2011-03-02 Shingo Kobayashi JAXA presentation
次期月着陸探査に向けたローバー搭載用ガンマ線分光計の開発
カリウムやトリウム (K, Th) は中揮発性・難揮発性元素、 液相濃集元素、放射性元素という性質を持つため、 月バルク組成、月マグマオーシャンと初期進化過程、月の熱史等の問題解決には、 それらの月地殻・マントルでの含有量を知ることは特に重要である。 月面のその場調査において、 岩石中の K, Th を簡単に精度よく分析する方法はガンマ線分光計 (GRS) を使用することである。 ここでは次期月着陸探査ミッション (SELENE-2) の月探査ローバに GRS を搭載することを想定して、 GRS が解決するべき月科学と GRS の元素分析性能の検討状況について報告する。