Solid Planetary Science Group Seminar
2010 first half

Wed 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, Hayakawa, and Okada Laboratory,
Planetary Science Group,
Institute of Space and Astronautical Science,
Japan Aerospace Exploration Agency.

固体惑星セミナー憲章

April   -   May   -   June   -   July   -   August   -   September

April

2010-04-21 16:00 Manabu Kato JAXA presentation
固体惑星研究系の探査・研究概観

May

2010-05-12 Futoshi Takahashi JAXA presentation
かぐや LMAG で探る月磁気異常の起源
現在月にはグローバルな磁場は存在しないが、局所的に磁気異常が存在している。 月の磁気異常の成因としては、IMF などの外部磁場がインパクト時に圧縮され、 インパクトと地理的対蹠地に SRM (Shock Remanent Magnetization) として記録されたとするインパクト説と、 過去の月ダイナモによる磁場を、 岩石が冷却する際に TRM (ThermoRemanent Magnetization) として記録したとする古月ダイナモ説がある。 従って、磁気異常の成因を明らかにできれば、 過去の月深部のダイナミクスや内部構造に関する情報を得ることができる。 本セミナーではかぐやの低高度観測時の磁場データを用いて、 磁気異常をモデル化した結果とその意味について議論したい。
2010-05-19 Naoya Sakatani Titech M1 presentation
高真空下での粉体の熱伝導率測定
月面表層はレゴリスと呼ばれる粉体で覆われており、その熱伝導率は重要な物理量である。 例えば、レゴリスの熱伝導率は月表層の熱流量の決定に関して大きなファクターとなっている。 また、熱伝導率からレゴリスの状態 (サイズ、空隙率など) を推定することもできるであろう。 しかし、レゴリスのような粉体の熱伝導のメカニズムは非常に多くの要因が関連しているため、 完璧な理解にまでは至っていない。 気圧による熱伝導率の変化は様々な理論的、実験的な研究が進んでいるが、 月面のような高真空での理解は不十分である。 本研究では高真空下においてガラスビーズの熱伝導率を測定することにより、 様々なパラメータ依存性を確認した。 今回は過去に実験的な例のない、深さ方向の熱伝導率変化を実証し、その原因について考えた。 その結果について紹介する。

June

2010-06-02 Kiyotaka Ito Tokyo Univ. M1 presentation
KGRS による月面中性子強度分布図
月面においてガンマ線は、 高エネルギー銀河宇宙線が月面物質の原子核と衝突することにより発生する 2 次中性子によって誘起される。 2 次中性子は月面物質の原子核と非弾性散乱 (X(n,nγ)) や中性子捕獲反応 (X(n,γ)) を起こす。 これらの核反応によって原子核固有のエネルギーを持つガンマ線が放出される。 従って元素濃度分布を算出するには、 その元素のガンマ線強度と月面中性子強度を用いた複合的な解析が必要となる。 かぐやは中性子検出器を搭載していないが、 月面から放出された中性子が主検出器内で Ge(n,nγ) や Ge(n,γ) 反応を起こすことによって放出されるガンマ線を解析することで、 月面における中性子強度分布を求めることができると期待される。 本研究では 72Ge(n,nγ) 反応によって放出される 692 keV のガンマ線ピークを解析し、 月面における高速中性子 (> 0.7 MeV) 強度分布を求める方法を検討した。
2010-06-09 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 presentation
月周回衛星かぐやによる分光観測データを用いた月 South Pole-Aitken 盆地内の鉱物・岩石分布
月の起源・進化を解明するためには、月内部の鉱物組成を理解することが重要である。 月 South Pole-Aitken 盆地 (SPA 盆地) では、インパクトにより表面の物質が剥ぎ取られ、 月内部の下部地殻やマントルの物質が露出していると考えられてきた。 本研究では、同盆地内の鉱物・岩石分布を調べることで、月内部物質の組成の解明を目指す。 今回は、同盆地内においてはインパクトにより剥ぎ取られたと言われる上部地殻を主に構成する「斜長岩」の、 盆地内における存在有無について注目し、調査した。
2010-06-16 Yuki Sarugaku JAXA presentation
彗星ダスト雲の観測的研究
彗星は、氷とダストでできた始原的な天体で、 その組成や構造に太陽系形成初期の情報を保持していると考えられている。 また、惑星間ダストの起源、流星群の起源としても重要な天体である。 彗星が太陽に近づくと、ガスやダストが放出され、コマやテイルが観測される。 近年、その形の違いや、突発的に明るくなるアウトバースト、 彗星核の分裂や崩壊など様々な現象が、詳細に観測されるようになってきたが、 このような違いがでる要因は明らかになっていない。 彗星の活動は予測不可能だが、その痕跡がダスト雲の形状に残る。 それを観測し、解析することで、彗星上で起きた現象を推定し、 彗星核の性質や、彗星ごとの性質の違いを調べることができる。 探査機によって、彗星核の詳細な観測も行われているが、 数が限られているため、地球からの観測も未だ重要である。 また、彗星を性質ごとに分類することは、今後、効率的な探査を行うためにも重要な課題といえる。 我々は、地上望遠鏡、宇宙望遠鏡を用いて、彗星ダスト雲の撮像観測を行ってきた。 ダストのサイズ分布、放出速度、放出率などをパラメータとしてダスト雲の模擬画像を作り、 観測画像を再現できるパラメータの組み合わせを求めた。 その結果をもとに彗星核の性質の違いについて議論する。 本講演では、短周期彗星の 4P/Faye、2P/Encke、17P/Holmes、217P/LINEAR についての結果を紹介する。
2010-06-23 @4F Yosuke Inoue Tokyo Univ. M2 paper review
S.R. Taylor, G.J. Taylor and L.A. Taylor, The Moon: A Taylor perspective, Geochimica et Cosmochimica Acta 70 (2006) 5904-5918.
著者らは月の起源に巨大衝突説を採用し、月に関する様々な見解 (Fe-rich な金属コア、豊富な難揮発性元素、揮発性元素の枯渇) について、 地球化学的、地球物理学的なデータを基にした (主に前者) 今までの研究成果を再評価し、 妥当性と問題点をまとめている。 そして、今後必要となるであろうデータについて著者の考えを述べている。
2010-06-23 @4F Maho Ogawa Tokyo Univ. M2 paper review
R.C. Anderson , L.W. Beegle , G.H. Peters, G.M. Fleming II, L. Jandura, K. Kriechbaum, K. Manatt, A. Okon, E. Pounders, L. Sollitt, and D. Sunshine, Particle transport and distribution on the Mars Science Laboratory mission: Effects of triboelectric charging, Icarus 204 (2009) 545-557.
本論文は火星へのローバ着陸時に帯電によって火星表面のダストがどの程度ローバに付着するか、 付着の対処法があるかどうかについて火星環境を再現した実験装置で調べている。 日本の次期月探査機 SELENE-2 では、アポロ以来初の月面着陸探査を計画しているが、 機器やダストの帯電による探査機への影響は避けられず、 これは日本の月探査計画が直面している重大な問題のひとつである。 本論文で行われた実験や結果はこの問題点の解決の参考になると考えられるため、今回紹介する。
2010-06-30 Naoki Kobayashi JAXA presentation
スーパーアースにおける地球物理学の展望
近年、太陽系外の惑星の発見に暇がない。 太陽近傍を大きな離心率で回る巨大ガス惑星 (ホットジュピター) など我々の太陽系とは異なる惑星系が発見され、異形の惑星達と呼ばれている。 最近、ホットジュピター以外にもホットネプチューンと呼ばれる太陽近傍を回る海惑星、 平均密度が岩石程度で地球の数倍の質量を持つ地球型惑星 (スーパーアース) の発見もあいついでいる。 系外惑星と呼ばれるこうした惑星達は 惑星形成論に新たな展開をもたらすとともに比較惑星科学の分野にも新しい息吹を与えつつある。 例えば地球外生命の探究である。 スーパーアースの大気分光が確立しつつある中、オゾン層の発見を議論したり、 M型星のスペクトルに応じた光合成のありようが議論されている。 こうした潮流のもと地球物理学も新たな展開が期待されている。 本講演では地球科学および地球物理学の目的と方法論を総括し、 スーパーアースにおける地球物理学の展開について、 考えられる困難や可能性について議論する。 惑星探査は地球科学とスーパーアース学との中間に位置し、両者の橋立と考えられる。 スーパーアース学を考えることは惑星探査の哲学にも関わる。 こうした展開を迎え、地球科学の進展のためには新たな科学哲学的な枠組みの構築が必要なのかも知れない。

July

2010-07-07 Ryuhei Yamada JAXA presentation
新しい地震計ネットワークによる月内部構造探査
分化した天体の内部構造の探査は、その天体の構成物質を理解し、 成り立ちを解明するうえで必要不可欠なテーマである。 特に月においては、 これまでの探査ミッションで得られた地震探査を含む地球物理学的な観測データに基づき、 その内部構造が描かれてきた。 しかし、一方で月のコアのサイズ、物性、深部マントルの構造など、 月の起源や進化に重大な制約をもたらす情報についてはいまだ十分な理解が得られていない。 そこで、現在、いくつかの研究機関では新たに月面に地震計ネットワークを設置し、 内部に関するいまだ未解決な問題を地震学的に明らかにする事が検討されている。 本発表では、 まずこれまでの月の地球物理学的な観測により得られた内部構造の情報について簡潔にレビューし、 現在どういった問題が残されているかとういう事について述べる。 そして、次期月地震探査ミッションでの限れた数の地震観測点で、 想定される地震計の性能により問題とする内部構造を解明するためには、 どういった地震計配置が有効であるか (どこに地震計を設置すべきか) ということについて、 その検討した結果と手法を示す予定である。 また、本研究で設計した地震計ネットワークにより得られるサイエンスゲインについても、 合わせて議論したい。
2010-07-14 Kazunori Ogawa JAXA presentation
月面越夜技術のための高断熱 MLI の性能評価
SELENE-2 では、月面に観測機器を設置して越夜を含む長期的観測を行うことを提案しており、 月面の厳しい熱環境から機器を保護する機構 (サバイバルモジュール) を開発している。 これは、探査機に一般的に用いられる断熱材である MLI (多層断熱膜) を用いて、 観測機器に断熱の傘をかぶせることで実現する。 これまで、サバイバルモジュールで使用する MLI の候補である、 エンボス縫い目無しタイプの MLI の性能評価として、 低温・高温条件それぞれで実効放射率の直接測定を行った。 本発表では、これら試験結果を中心に報告し、MLI の月面での応用について議論する。
2010-07-28 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 paper reivew
J.W. Head, Transition from complex craters to multi-ringed basins on terrestrial planetary bodies: Scale-dependent role of the expanding melt cavity and progressive interaction with the displaced zone, Geophysical Research Letters 37 (2010) L02203.
複雑クレーター (中央丘ができるようなクレーター) から多リングクレーター (ピークリングができるようなクレーター) への地形的遷移、 および惑星のインパクトベイスンにおける複数のリングの起源は、未だよく解明されていない。 インパクトクレーターの衝突した基の土台の性質や、 衝突物質の性質、重力の変動、衝突規模によるクレーター形成過程の違い、 などによってどのようにこういった遷移やリングの複数化が起こるのかもわかっていない。 本論では、最近のインパクトクレーター形成学の研究から、 クレーターの複雑化への遷移の形態や特徴を説明し、 これらの遷移の地質学的過程モデルを探究する。
2010-07-28 Yosuke Inoue Tokyo Univ. M2 paper review
S.R. Taylor, G.J. Taylor and L.A. Taylor, The Moon: A Taylor perspective, Geochimica et Cosmochimica Acta 70 (2006) 5904-5918.
著者らは月の起源に巨大衝突説を採用し、月に関する様々な見解 (Fe-rich な金属コア、豊富な難揮発性元素、揮発性元素の枯渇) について、 地球化学的、地球物理学的なデータを基にした (主に前者) 今までの研究成果を再評価し、 妥当性と問題点をまとめている。 その上で月が形成したであろう凝縮モデルを示し、 さらに今後必要になると著者が考えているデータについて述べている。

September

2010-09-15 Takayuki Hirai Sokendai D1 presentation
衝突電離型ダスト検出器の計測性能評価とダスト計測における衝突現象
宇宙ダストのその場計測を目的としたダスト検出器は「衝突電離型」が主流である。 しかし、これまで検出器の形状、電極間距離、電極間印加電圧等の構造条件が、 ダスト質量の測定分解能といった計測性能に対しどのように影響するかは定量的に見積もられていなかった。 そこで本研究では、ダスト模擬微粒子を用いた地上較正実験を行い、 計測性能に対する検出器構造条件の影響を見積もった。 その結果から、衝突電離型ダスト検出器が満たすべき最適な構造条件と、 ダスト計測における衝突現象の素過程について議論する。
2010-09-22 Kiyotaka Ito Tokyo Univ. M1 paper review
G.Y. Kramer, B.L. Jolliff, and C.R. Neal, Distinguishing high-alumina mare basalts using Clementine UVVIS and Lunar Prospector GRS data: Mare Moscoviense and Mare Nectaris, Journal of Geophysical Research 113 (2008) E01002.
アポロやルナにより採集された月面岩石サンプルの中には、 High-Alumina (HA) mare basalt と呼ばれるユニークな岩石グループが存在する。 HA mare basalt は比較的古い火成活動による噴出物であると考えられており、 本論文では、その全球的な分布をクレメンタインやルナ・プロスペクターの観測結果を用いて調べた。 特に、モスクワの海と神酒の海に対して詳細な探査を行い、 HA mare basalt とみられる basalt unit を発見した。
2010-09-22 Kisara Uemoto Tokyo Univ. M2 paper review
J.W. Head, Transition from complex craters to multi-ringed basins on terrestrial planetary bodies: Scale-dependent role of the expanding melt cavity and progressive interaction with the displaced zone, Geophysical Research Letters 37 (2010) L02203.
複雑クレーター (中央丘ができるようなクレーター) や多リングクレーター (ピークリングができるようなクレーター) の地形的違いの要因、 および惑星のインパクトベイスンにおける複数のリングの起源は、未だよく解明されていない。 インパクトクレーターの衝突した基の地盤の地質的性質や、 衝突物質の性質、天体ごとの重力の違い、 衝突物のサイズや速度によるクレーター形成過程の違いなどによって、 どのようにこういったクレーターの地形的相違やリングの複数化が起こるのかもわかっていない。 本論では、最近のインパクトクレーター形成学の研究から、 クレーターの複雑化への遷移の形態や特徴を説明し、 これらの遷移の地質学的過程モデルを探究する。
2010-09-29 Hajime Hayakawa JAXA presentation
水星探査計画の現状
JAXA は ESA と協力して 2014 年夏期に打上、 2020 年から水星周回軌道にて2機の周回機にて観測を行う BepiColombo プロジェクトを推進している。 このプロジェクトの概要、搭載機器、現状に関して紹介する。 また、来年水星周回軌道に投入される米国の MESSENGER ミッションとの比較、 協力体制等に関しての紹介もあわせて行う。