Solid Planetary Science Group Seminar
2009 second half

Mon 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, Hayakawa, and Okada Laboratory,
Planetary Science Group,
Institute of Space and Astronautical Science,
Japan Aerospace Exploration Agency.

- Everyone is welcomed -

October   -   November   -   December   -   January   -   February   -   March

October

2009-10-19 Makiko Otake JAXA presentation
SELENE-2 で行う地質探査への提案
月周回衛星かぐや (SELENE) で得られた成果などをもとに、 現在 SELENE-2 に向けたミッション検討が行われている。 発表者らは、 SELENE-2 の探査目標の一つとして分光カメラを用いたその場観測による月面地質探査を提案している。 今回の発表では、提案中の月面地質探査で何を明らかにしたいと考えているのか、 かぐやでの成果と比較しながら紹介する。
2009-10-26 Naoya Sakatani Titech B4 presentation
惑星表層の熱特性についての研究
惑星表層の熱特性は惑星の熱史に大きく関わっている。 また、レゴリスのような粒状物質の場合は粒子の状態を反映しているため、 熱特性を測ることによってレゴリスの状態を推定することもできる。 そのためには粒状物質の熱特性について理解する必要があるが、 そのメカニズムはあまりわかっていない。 本研究ではガラスビーズの熱伝導率を測定することによって、 粒子サイズや空隙率などの粒子の状態と熱伝導率との関係を調べる。

November

2009-11-02 Yusuke Kobayashi Tokyo Univ. M2 presentation
かぐやで取得した分光観測データによる Dark Mantle Deposit を形成したマグマの噴出携帯推定
Dark Mantle Deposit (DMD) 領域は海の玄武岩領域よりも反射率が低く、 噴水状または爆発的に噴出したマグマの飛散冷却により生成された ガラスビーズと少量の結晶が堆積したものであると考えられている (Gaddis et al., 1985)。 各 DMD 領域において、ガラスビーズと結晶の量比、堆積物の分布、 それぞれの化学組成、噴出口と周囲の地形を知ることで、 噴出時の温度、圧力、速度、マグマの組成、 噴出口外に飛散した噴出物量などの噴出形態情報を得ることができる。 今回は、MI データによるシュレディンガー盆地内にある DMD 領域の解析からわかったマグマの噴出形態とマグマの組成を報告する。
2009-11-02 Kazunori Ogawa JAXA presentation
月面サバイバルモジュールの熱検討
SELENE-2 ミッションでは、 月震計など一部の機器を月面に設置し、 越夜後もなるべく長期に渡って観測を継続することを検討している。 この際、月表面では昼夜で大きな温度差が発生するため、 機器の熱対策が課題となる。 これに対して、 観測機器の昼夜の温度変動を抑え、 長期的観測を可能にするための熱制御モジュール (サバイバルモジュール) の開発を行っている。 本発表では、これの開発現状について、熱検討の結果を中心にお伝えする。
2009-11-09 Junichi Haruyama JAXA presentation
SELENE カメラによる月面の縦穴の発見について
我々は、SELENE 搭載地形カメラとマルチバンドイメージャにより、 月面に 60 〜 70 m の縦穴を発見した。 我々が実際に何を見たのかを、 その下に存在する可能性がある空洞 (溶岩チューブ) とは ? それらの解説を含めて話をする。 なお、今回発見された縦穴に関する説明、 ならびに縦穴付近の動画を、 かぐや画像ギャラリにアップしています。 御覧下さい。
2009-11-16 Takahiro Iwata JAXA presentation
宇宙測地による月惑星の重力場・回転計測
宇宙測地は、電波航法 (衛星レンジング) や VLBI (超長基線電波干渉計) による測位から、 地球・月・惑星等の重力場や回転計測を測定して、内部や表面の物理構造を解明する。 「かぐや」RSAT/VRAD ミッションによる月重力場の全球マッピングに続く、 月や火星等の宇宙測地ミッション計画と、その科学的意義について述べる。
2009-11-30 Hajime Yano JAXA presentation
次世代始原天体探査の科学目標と技術課題
現在日本では、はやぶさの地球帰還運用とはやぶさ後継プロジェクトの立上げ、 そして関連する科学・技術研究の深化に多くの方の努力が注がれている。 特に微小重力天体への往復・着陸探査技術への工学的要求と、 イトカワ探査を端緒とするサブ km サイズの微小天体の物質・構造、 そして太陽系の進化に果たす役割に対する科学的好奇心は、 世界の宇宙機関・研究者・技術者の間でも大きな関心となっている。 米国では有人 NEO 探査の可能性すら、過去3年にわたって議論されてきている。 本講演では、始原天体探査の理工学双方の意義を俯瞰し、 世界の始原天体研究や深宇宙探査の潮流をそれぞれ解説する。 その上で、はやぶさミッションが果たした役割とやり残した課題、 そしてそれに続く独自ミッションの展望と期待される諸成果についてまとめる。

December

2009-12-07 Naoya Sakatani Titech B4 presentation
惑星表層の熱特性の研究
惑星表層の熱特性は惑星の熱史に大きく関わっている。 また、レゴリスのような粒状物質の場合は粒子の状態を反映しているため、 熱特性を測ることによってレゴリスの状態を推定することもできる。 本研究では様々な粒径のガラスビーズの熱伝導率を測定することにより、 粒状物質の熱伝導率の粒子サイズ依存性を考える。 また温度を下げて測定することにより輻射の影響も考えたい。
2009-12-14 16:00- Shunichi Kamata Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」測地データを用いた月裏側の熱史制約: 衝突盆地の粘弾性変形
月の衝突盆地の粘弾性的性質は、 月の地殻とマントルの熱進化を読み解く鍵となるが、 従来の粘弾性計算手法は多層構造の取り扱いが困難であった。 我々は 1000 以上の層でも安定・高精度に計算できる手法を開発し、 盆地のサイズ、熱流量、地殻厚に着目したパラメータスタディを行っている。 本発表では、上記数値計算の結果と「かぐや」重力場データとの比較を通して得られた、 月裏側の熱的状態の変遷についての最新の成果を報告する。

January

2010-01-18 Yusuke Kobayashi Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」分光観測データによる Dark Mantle Deposit を形成したマグマの組成と噴出形態推定
月のマントルは月の体積の約 90% を占めており、 その組成や形成過程を知ることは非常に重要である。 それらの情報を知る手がかりの一つとして Pyroclastic beads がある。 Pyroclastic beads はアポロサンプルとして各アポロサイトにおいて採取されており、 その形状や組成から、未分化なマントルが溶融したマグマソースから急上昇したマグマが月面に噴出し、 冷却され生成されたものと考えられている。 また、マグマソースの組成の違いから beads に含まれる Ti 量の違い、 噴出形態の違いから beads 中の結晶量の違いがあるため、 リモートセンシングによる観測データから beads を分類することができれば、 これらの地域的な違いなどを知ることが可能となる。 これまでアポロ 17 号サイトで Pyroclastic beads が採取されたことと、 地上観測や Clementine 探査機による観測からスペクトルが beads のスペクトルに似ているという理由から、 17 号サイト以外の Dark Mantle Deposit (DMD) と呼ばれる月面の暗く滑らかな地域にも、 Pyroclastic beads が堆積していると考えられてきた。 しかし、空間分解能や観測波長帯の問題から、 DMD と Pyroclastic beads のスペクトルを詳細に比較した研究は行われていない。 本研究では「かぐや」マルチバンド・イメージャの高空間分解能、 415 nm から 1550 nm までの広い波長領域のデータを用いて、 DMD と Pyroclastic beads のスペクトルの反射率と吸収形状を詳細に比較し、 DMD には Pyroclastic beads が堆積しているのかどうかを検討した後、 組成や分布などの議論を行う。
2010-01-25 Naoya Sakatani Titech B4 presentation
月面熱伝導率モデル構築のための粒状物質熱伝導率測定実験
月・惑星表層の熱伝導率は惑星の熱史にとって非常に重要な値である。 例えば熱流量測定によって、月・惑星内部の放射性元素の存在度を推定することが可能であるが、 そのためには月面の熱伝導率を正確に決定する必要がある。 しかしレゴリスの熱伝導のメカニズムは非常に複雑であり、 Apollo Heat Flow Experiment のように probe を月面に埋め込んだだけでも熱伝導率は変わってしまうなどという心配がある。 その評価のためには熱伝導率のモデルを完成させる必要があるが、 レゴリスのような粒状物質の熱伝導率を決定すると考えられるパラメータは多様にあり、 完全なモデルは完成されていない。 本研究ではガラスビーズの熱伝導率を様々な気圧、粒径、深さ、温度で測定することにより、 粒状物質の熱伝導率のメカニズムについて探る。 また、実験結果と過去の理論モデルとの比較を行い、 モデルの妥当性についても考察する。 また、本研究での実験データはサバイバルモジュールの熱設計のための基礎データとしても 非常に重要なものである。

February

2010-02-08 Yosuke Inoue Tokyo Univ. M1 presentation
月惑星表層元素分析のためのガンマ線検出器性能評価
月惑星表層の岩石はその天体が経験してきた結晶分化過程の情報を持っており、 表面の元素組成を知ることは、月惑星の形成過程を理解する上で重要である。 表層の元素組成を知る方法として、表層から放出されるガンマ線が利用できる。 元素の放射崩壊や宇宙線と表層物質との相互作用により発生するガンマ線は、 その元素固有のエネルギーを持っており、 そのエネルギーを測定することで元素を同定し、 その強度を測定することで元素の存在量を知ることができる。 将来の月惑星探査における月惑星表面上への着陸船・ローバーへの搭載を考えると、 検出器の軽量化、小型化、省電力化が必要となる。 そこで近年では、 高い検出効率をもちながら常温でも動作が可能である CdTe 半導体を用いた検出器の開発が進められている。 これまでの研究では常温以上での性能は調べられておらず、 月面昼間での動作を考えると、室温以上の高温側での検出器の性能を調べておく必要がある。 本研究では、CdTe 検出器のエネルギー分解能を決める要因である 回路ノイズと電荷輸送効率の影響を確認するため、 まず単素子での測定を行った。 また実用検出器として確立するために、 面積を大きく保ちつつ電極をストリップ状に分割することで 1読み出し当りのノイズを低減することができる片面ストリップ検出器を開発し、 その試作品を完成させた。 今回は、現時点での単素子とストリップ検出器の測定結果について発表する。
2010-02-08 Akiko Iwasaki Tokyo Univ. M2 presentation
火星表層における粒状体の熱特性について
リモートセンシングによって表面物質を決定する際の重要なパラメータとして thermal inertia がある。 火星環境では、thermal inertia は物質の熱伝導率に大きく依存しており、 火星表層の状態について考えるにあたって粒状体の熱伝導率を理解することが重要である。 これまで、観測との比較・室内実験・モデルの検証などから 熱伝導率は粒子サイズによって決まると考えられてきた。 しかし、地球科学では空隙率を表すと考えられている。 熱伝導率が粒子間に存在する空隙の量に影響されることは明らかだが、 空隙率と熱伝導率の関係ははっきりとは分かっていない。 本研究では、粒状体のサイズ・空隙率・熱特性の関係を理解するために粒状体の諸特性を測定した。 実験では、ガラスビーズと天然サンプルを用いた。 天然サンプルは火山噴火時に生成された軽石で、特徴的な泡構造を持ち、様々な空隙率を持っている。 大気圧下での測定の結果、 1) 熱伝導率は空隙率に依存する、 2) 空隙は粒子内部に独立して存在する空隙と粒子外部に存在する空隙に 分けて考えることが重要であることが分かった。 また、低圧力下での測定の結果、中真空では熱伝導率はサイズに依存するが、 火星環境付近 (10 hPa 程度) ではサイズと空隙率の影響が拮抗しており、 どちらが優位とは言えないことが分かった。 以上の結果から、粒子サイズ・空隙率が熱伝導率に与える影響について考察する。
2010-02-22 Yukio Yamamoto JAXA presentation
惑星科学データのアーカイブの現状と将来戦略
惑星科学データのアーカイブは現在 NASA が開発した Planetary Data System (PDS) が主流である。 PDS は単なるフォーマットの規約ではなく、全体のディレクトリ構造やファイル名、 付随するドキュメント整備など詳細に規定されている。 正式に PDS とするために、ドキュメント類を含め NASA によるレビュー過程を必要とし、 アーカイブを準備・公開するために多大な労力を払う必要がある。 日本の惑星探査機における科学観測機器の開発の現状は、 科学自ら開発・試験・打ち上げ・運用・解析とやるスタイルであり、 最終段階にあるデータアーカイブ・公開において、 PDS に対応するという労力を払うことは現実として困難な状況にある。 ESA などはこのレビュー過程を独自のプロセスに置き換えた Planetary Science Archive (PSA) を運用し、 データフォーマットについては PDS 互換のフォーマットを採用している。 日本も同様の手法を用いているが、 残念ながら PSA のように洗練されたレビュー過程が存在しているわけではない。 このように、データアーカイブを行う点において日本は、 NASA, ESA と比較して遅れているのが現状である。 本発表では科学データアーカイブに潜む問題点とその背景について言及し、 惑星科学のデータアーカイブの将来戦略を議論するための枠組みを提唱する。

March

2010-03-08 Takefumi Mitani JAXA presentation
衛星ミッションにおける科学データの品質に関する考察
科学データの品質とはどのようなものであるべきか、 そして、衛星搭載という特殊条件下でそれをどう実現するのかについて、 私が関わってきた衛星での例を紹介しつつ、考えを述べる。 世界に先駆けたデータを取るためには、10 〜 15 年先を見据えて、 どのような科学データが欲しいか、そのために必要な技術は何か、 を考えた上で、地道な作業が必要である。 さらに、実際に衛星に搭載するとなると、衛星特有の困難に出会う。 すなわち、打ち上げ後の修理は難しい、重量・電力・データ量などのリソースは限られている、 放射線環境や温度環境などは厳しい、など様々な制約がある。 こうした制限を満たしつつ、データの質を維持することが必要不可欠である。 そして、軌道上で得られたデータがきちんと校正、検証されるべきことも当然である。 こうしたことが全て完結して、「科学衛星のデータ」として認められると考える。