Solid State Planetary Science Group Seminar
2008 second half

Mon 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, Hayakawa, and Okada Laboratory,
Planetary Science Group,
Institute of Space and Astronautical Science,
Japan Aerospace Exploration Agency.

- Everyone is welcomed -

For students: セミナーの心得 (PDF)

October   -   November   -   December   -   January   -   February   -   March

October

2008-10-06 Emiko Migita ISAS/JAXA presentation
樹木抽出のための高解像度衛星データの利用
2005 年 2 月、京都議定書が発効した。 そこで二酸化炭素排出削減が締結され、 二酸化炭素吸収源として重要な要素である森林が注目された。 そこで有効とされたのが、衛星データを使った森林モニタリングである。 近年、高解像度衛星と呼ばれる解像度が 1 m をきる衛星データを利用した研究も盛んになり、 より詳細な報告が可能となった。 一般的に、高解像度衛星データをサンプルデータ (トレーニングデータ) として用いるほうが、 中解像度衛星データをトレーニングデータとして用いるよりも精度が上がると考えられている。 そこで本研究では、森林モニタリングの一段階として、 高解像度衛星データ (QuickBird) を用いて樹木抽出を行った場合の利点および限界を明らかにした。
2008-10-06 Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 presentation
土星衛星イアペタスのアルベド二分性とその時間変化
土星衛星 Iapetus は、 構成成分の大部分が H2O の氷であると考えられている。 Iapetus は自転と公転が同期しているが、 先行側半球の反射率 (約 4%) が後行側半球のそれ (約 60%) に比べて著しく低いという明瞭な二分性があることが知られている。 分光観測などによって、 この二分性は暗い物質が先行半球に選択的に存在することによって作られていることが分かった。 この二分性の起源として、 大きく分けて外因説と内因説の二つがこれまでに提案されているが、 未だに決着がついていない。 この起源の謎を解くための一つの鍵は暗い物質の表面分布を正確に知ることであるが、 近年の観測結果から Iapetus 表面では氷の昇華が起こっていると指摘されるようになった。 つまり、二分性がつくられた時期と現在とでは明暗分布が異なっていると考えられる。 そこで本研究では Iapetus 表面が H2O 氷と暗い物質との混合物からなると仮定し、 表面の温度変化に伴う H2O 氷の昇華率を見積もる。 また氷と暗い物質の存在比が変化することによるアルベドの長期間変化をシミュレートする。
2008-10-15 (Wed) Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」における、局所重力加速度データによる月の裏側の高分解能重力場解析
月周回衛星「かぐや」の 4 way ドップラー観測において以下に述べる、 月の裏側での局所的な重力場を改善する手法とその結果をお話します。 Lunar Prospector ミッションまでの重力場解析では、 重力場は球面調和関数で展開した形として表されてきた。 「かぐや」における月の重力場では、それに 4 way 観測の機能が追加されており、 球面調和関数で重力場を展開しグローバルなマップを作成するという手法は踏襲されている。 衛星のドップラーデータから重力場を出すまでの計算は GEODYN II というソフトウェアで行われる。 GEODYN II では、まずアプリオリな重力場を与え、 軌道推定することで得られるドップラーの計算値と、実際のドップラー観測値とを比べ、 その残差を最小にするように重力場の球面調和展開係数を修正し新たな重力場として与えるという手法をとっている。 しかし、球面調和展開での解析では得られた衛星の軌道の全体を最適化するような重力場を出すため、 局所的な重力異常の情報が失われてしまうという問題がある。 そこで本研究では局所的な地域において、 残差を主衛星の軌道の補正すべき量と考える。 具体的には残差を直接差分することで加速度を出しその月中心方向の量を、 球面調和展開された重力場に補正項として与えていく。
2008-10-15 (Wed) Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 presentation
土星衛星イアペタスのアルベド二分性とその時間変化
(10/6 発表の続き)
2008-10-20 Chikatoshi Honda ISAS/JAXA presentation
Rima Schroter から分かる月の噴火温度
Rima Schroter は太陽系の中でも最も巨大な蛇行谷として有名であり、 その研究は 1800 年代から行われてきた。 その成因について昔は月にも巨大な河川があったとする説もあったが、 現在は蛇行谷の蛇行の程度と地球の洪水玄武岩による火成活動にも似た地形から、 蛇行谷の成因には「巨大な溶岩流」が関与していることが分かっている。 本研究紹介では、「蛇行谷の成因は溶岩流による熱浸食」 だと仮定して蛇行谷形成に必要な溶岩流の体積の議論をする。 Head et al. (2000) などの研究によると一回の噴火活動で出てくる月の溶岩の体積は 1000 km3 だと言われている。 この体積を制約条件にして蛇行谷を作った溶岩流の噴火温度に制約を与えた。 (必要あれば溶岩流のメカニカルな浸食についての議論も加える。)

November

2008-11-17 Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」における、局所重力加速度データによる月の裏側の高分解能重力場解析
(10/15 発表の続き)
2008-11-17 Yosuke Inoue Titech B4 new paper review
G. Y. Kramer, B. L. Jolliff and C. R. Neal, Searching for high alumina mare basalts using Clementine UVVIS and Lunar Prospector GRS data: Mare Fecunditatis and Mare Imbrium, Icarus 198 (2008) 7-18.
Luna 16 や Apollo 14 のサンプルには、 斜長石が多く Al に富んだ玄武岩 (HA-basalts) が多数含まれていた。 HA-basalts の分布は Lunar Magma Ocean の進化過程、 特に地殻の形成過程の理解のために重要である。 本論文では Clementine UVVIS と Lunar Prospector GRS の data を用い、 HA-basalts が多い場所を全球的に探した。 この中の Lunar 16 と Apollo 14 の HA-basalts サンプルの起源と考えられる、 Mare Fecunditatis と Northen Mare Imbrium の2つの地域について、 詳細な解析を行った。 直径 0.4-4 km の小さなクレーターの縁が地表下の物質を表していることから、 これらの海のレゴリスに埋もれた basalts の正しい組成を定めた。 その結果、それぞれの海に組成が HA-basalts サンプルとよく合う領域があることがわかった。

December

2008-12-01 Kyoko Kawakami Tokyo Univ. M2 presentation
「はやぶさ2」探査ターゲット小惑星の観測
小惑星 (162173) 1999JU3 は、 日本が計画しているC型小惑星のサンプルリターンミッション「はやぶさ2」のターゲット天体である。 我々は 2007 年 5 月から 2008 年 4 月までの観測好機に、 この小惑星を集中的に観測し、特に可視測光観測では 59 晩ものデータを取得した。 これまでの発表では自転周期、自転軸の向き、 軸比、直径、アルベド、スペクトル情報などを報告してきた。 その後は新たに、Kaasalainen のモデルを使って、ライトカーブから、 より詳細な形状を直接推定することができた。 また、これまで時間の関係で発表を割愛してきた、 バックアップ天体探しのサーベイ観測の結果や、修論の流れ、進捗状況について報告する。
2008-12-01 Taichi Kawamura Tokyo Univ. M2 presentation
月面重力計 Lunar Surface Gravimeter を用いた月震波解析の可能性について
アポロの時代に行われた月震の観測データは 月の内部構造を直接観測から推定できる有効な手段の一つとして、 月の科学において大きな貢献を果たした。 一方で 4 点という観測点の制限、それに伴う観測領域の制限があったことも事実である。 そのため特に月の中心部分の情報についてはまだ不確定な部分も多く、 今なお、月の科学の重要な問題として残されている。 このような問題を考えるに当たってアポロの17号の月面重力計 Lunar Surface Gravimeter に注目した。 この月面重力計は月震波の観測にも対応できるような設計がなされていたにも関わらず、 機器の不具合のためにそのデータのほとんどが未解析のまま残されていた。 これまでの研究ではこの重力計の月震計の利用の可能性を検討してきた。 その結果、重力計が月震計として機能していること、 さらにそのデータが震源の決定精度の向上に有効であることを示すことができた。 本発表ではこれまでに行ってきた検討の結果と今後の重力計を用いた月震波解析の展望について発表する。
2008-12-08 Mizuno Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」における月裏側の重力場探査とベイスンの内部構造の進化過程
月の内部構造を知ることは、月の起源・進化過程を知るうえで重要である。 内部構造を知るてがかりのひとつに重力場探査がある。 月周回衛星「かぐや」の 4 way ドップラー観測によって、 月の表側だけでなく裏側の重力場の直接観測がなされた。 その結果、月の表と裏でのベイスンにおける重力異常の構造の二分性がみられた。 本研究では、地形補正された重力異常から出された多重リングベイスン地下のモホ面の起伏をみて、 さらにインパクト直後の Excavation Cavity の形状を復元することで、 ベイスンにおける表層と内部構造の進化過程の、場所、年代、サイズによる違いを議論していく。 今回の発表では、4月までに観測された重力場から出されたモホ面の深さのデータを使い、 表と裏側の複数のベイスンに着目し、 Excavation Cavity を再現することで、 インパクト後の進化過程の場所・年代・サイズによる違いを考察した結果を発表する。
2008-12-08 Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 presentation
土星衛星 Iapetus のアルベド二分性とその時間変化
土星衛星 Iapetus は自転と公転が同期しており、 先行側半球の反射率 (約 4%) が後行側半球のそれ (約 60%) に比べ著しく低い。 この二分性は、H2O の氷で構成される天体表層の先行側半球に 「暗い物質」が選択的に存在することによるが、 この物質の起源は未だ分かっていない。 これを明らかにするため、「暗い物質」の地域分布からの推定などが行われている。 しかし近年の観測結果から、 Iapetus 表面で氷の昇華が起こっていることが示唆され、 二分性形成時は現在と明暗分布が異なっていたと考えられる。 そこで本研究では、Iapetus 表層が H2O の氷と「暗い物質」との混合物からなると仮定し、 表面の温度変化に伴う H2O 氷の昇華率の変動を見積もる。 またそれらの存在比が変化することによるアルベドの長期的変化を数値計算し、 「暗い物質」の過去の地域分布を推定する。
2008-12-15 Maho Ogawa Kyushu Univ. B4 presentation
微小惑星試料取扱を目的とした静電マニピュレーション技術の確立に向けて
今後の惑星探査計画において、サンプルリターンは非常に重要な意味をもつ。 惑星試料そのものを地球上で分析することができれば、 その結果はターゲット天体に関する新たな情報をもたらすだけでなく、 これまで隕石研究や地上観測によって蓄積された知識どうしを結びつけ、 初期太陽系の進化過程解明への大きな手掛かりとなるだろう。 2010 年のはやぶさ帰還を含めた将来の探査計画を見据え、 キュレーション設備が作られた。 その中で汚染・紛失なく惑星試料を回収し保管するために、 マニピュレータは不可欠な装置である。 しかし µm サイズのあらゆる試料の取扱が可能なマニピュレーション技術は現在まだ確立されておらず、 本研究ではその必要性に着目した。 本発表ではその第一歩として、 静電気力を用いてさまざまな帯電状況の微小試料を取り扱う手法を紹介し、 その可能性について議論する。
2008-12-15 Yosuke Inoue Titech B4 presentation
月惑星探査機に搭載するための CdTe ガンマ線検出器の温度特性の評価 (方針)
U、Th、K 元素はマグマオーシャン時の残液に残り、 後にマグマとして噴出し地表に現れるので、 これらの元素の表面分布を知ることは月惑星の進化過程を理解する上で重要である。 この元素存在度を決定するために、放射崩壊時に発生するガンマ線を利用することができる。 元素存在度を精度良く決めるためには、高いエネルギー分解能が必須である。 従来、高いエネルギー分解能を示す検出器として Ge を吸収体としたガンマ線検出器が利用されてきた。 しかし、この検出器は有効なエネルギー分解能を得るために液体窒素温度で動作させる必要があった。 そこで最近注目されているのが、室温でも動作可能な CdTe を吸収体に用いた検出器である。 今回は、CdTe 検出器の特徴と、室温から +50 ℃ 付近での分解能の評価に向けて実験方針について発表する。
2008-12-22 Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」における月裏側の重力場探査とベイスンの内部構造の進化過程
(12/8 発表の続き)

January

2009-01-09 (Fri 13:00-) Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
「かぐや」における月裏側の重力場探査とベイスンの内部構造の進化過程
(12/22 発表の続き)
2009-01-19 Makiko Ohtake ISAS/JAXA presentation
SELENE 搭載マルチバンドイメージャによる月上部地殻の化学組成推定
月周回衛星 SELENE に搭載されているマルチバンドイメージャは、 可視〜近赤外波長域の9バンドにおいて月面からの反射光を観測する。 マルチバンドイメージャは従来の観測機器に比べ、 高い空間分解能、広い観測波長範囲、高い S/N、 高度情報を独自に作成可能、など多くの利点をもつ。 今回の発表ではマルチバンドイメージャのデータを用い、 月上部地殻の化学組成推定を行った結果について報告する。
2009-01-28 (Wed) Tomokatsu Morota ISAS/JAXA presentation
モスクワの海の火成活動史: かぐや搭載 LISM の成果
月の溶岩流の分布には明らかな不均質が見られ、 月の裏側では South Pole-Aitken Basin の内部と、 その他の少数のベースンやクレータ内部のみに限られる。 特に、地殻が厚いと考えられている裏側の北半球では、溶岩流の噴出はほとんど見られない。 モスクワの海は裏側の北半球で最大の海であり、 裏側の熱進化や溶岩流分布の二分性を理解する上での重要地域であると言える。 月周回衛星かぐや (SELENE) に搭載された LISM はモスクワの海の高解像度画像を初めて取得した。 モスクワの海の溶岩流の層序や年代を決定するため、 我々は LISM データを用いてクレータサイズ分布の測定を行った。

February

2009-02-02 Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 presentation
土星衛星 Iapetus のアルベド二分性とその時間変化 (修論発表練習)
土星の衛星 Iapetus の大きな特徴は、 先行半球の反射率 (約 4%) が後行半球 (約 60%) に比べて著しく低いという明瞭な二分性が存在することである。 この二分性は、暗い物質が先行半球に選択的に存在することによってつくられている。 この物質の起源は分かっておらず、 これまでに大きく分けて外因説と内因説の二つが提案されているが、 現在見られる分布の特徴 (1.赤道方向に伸びている 2.明暗境界が明瞭) を説明するのは難しい。 しかし近年の観測から、表面では氷の昇華が起きている可能性が考えられる。 そこで本研究では、アルベド分布における氷の昇華の寄与を評価すること、 更にその結果から 40 億年に及ぶアルベド分布の時間変化を調べて 現在の分布の特徴を再現することを目的として、数値シミュレーションを行った。 外因説を仮定して行った結果の分布は、現在見られる特徴を再現するものであった。 このことから、赤道方向に伸びた分布が論拠となっていた内因説の可能性が薄れた一方で、 外因説においてこれまで問題となっていた明暗境界の明瞭性も、 氷の昇華とアルベドの変化を考慮すればむしろ調和的であることが分かった。
2009-02-02 Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
月周回衛星かぐやによる月全球の重力場データを用いた衝突盆地の表層および内部構造の進化過程の研究 (修論発表練習)
月における巨大衝突イベントが、その表層・内部構造に与える影響や、 その後の地形や内部構造の変形過程を知ることは、月の熱史を考えるうえで重要である。 SELENE の子衛星 Rstar に搭載されたリレー衛星中継器 RSAT より初めての月裏側の直接的なドップラー観測が行われた。 これより、裏側の重力場が劇的に改善され、 全球的にベイスンにおける重力異常の多様性がみられた。 これは、ベイスンによって地下の内部構造に多様性があることを示唆する。 そこで、本研究では、SELENE で得られた重力場よりもとめられた Moho 面形状モデルを用いて、 裏側も含めた個々のベイスンの内部構造を定量的に調べていく。 具体的には、重力異常の大きさや形状によりタイプ分けされたベイスンのうち South Pole-Aitken 内のベイスンを除く、 18 ベイスン (表側 8 ベイスン、裏側 10 ベイスン) の地形・Moho 面の起伏の平均断面図を作成し、 Excavation Cavity の復元とアイソスタシー状態の評価を行った。 それによって、現在みられるベイスン地下の内部構造の多様性は、 インパクトにおけるクレータリングプロセスの違いや、 その後の緩和過程の違いにより説明付けられることが分かった。 まず、ほとんどのベイスンにおいて、復元された cavity の深さ/ 直径比と、 マントルアップリフトのアイソスタシーからの超過量には相関があることが示された。 これは、内部物質の、粘性緩和により地形や Moho の起伏が水平方向になまっていく流動と、 アイソスタシーに戻ろうとする鉛直方向の流動とが、 ベイスンの変形過程において同時に起こっていることを示す。 サイズの大きい表側の Mascon ベイスンと比較的大きな裏側の Type2 ベイスンとを比べると、 この緩和の違いが顕著にみられる。 Mascon ベイスンの方が復元される cavity の深さ/ 直径比は小さく、 またアイソスタシーに近い。 これは、表側のベイスンでは下部地殻からの粘性緩和を強く受けているのに対し、 Type2 ベイスンでは、形成時に作られた荷重の超過を現在まで弾性により支えていると考えられる。 また裏側のベイスンにおいては、Moho 面の深さに対する衝突の規模の違いが、 Moho 面の上昇量の違いをうむ傾向がみられた。 衝突の規模が大きいと、クレータリングプロセスにおける内部物質の上昇は、 Moho 面の上昇を促す。 一方で、衝突の規模が同等でも、Moho が深い場合、 内部物質の上昇は弱く Moho の上昇は弱かった。 これが Type1 ベイスンと Type2 ベイスンの違いを生むと解釈できる。
2009-02-02 Taichi Kawamura Tokyo Univ. M2 presentation
Investigation of the Apollo 17 Lunar Surface Gravimeter as a Lunar Seismogram (修論発表練習)
月の起源や進化を考える上でその内部構造は重要な情報である。 これまでもさまざまな方法で内部構造の推定が行われてきており、 その中で最も有効な手段のひとつが月震波の解析である。 しかし過去の研究では観測点の制限から月の深部についての情報が不足しており、 十分に理解されていない。 本研究ではアポロ 17 号の Lunar Surface Gravimeter (LSG) が月震計として機能している可能性に注目し、 その月震波解析への適用の可能性を検証した。 これまでの研究で確認されている月震イベントが LSG でも検出されているかを確認し、 LSG でシグナルが確認できたイベントのなかのいくつかの代表的に月震については到達時刻の読み取り、 走時曲線の作成、震源の決定を行った。 その結果検証した 844 の月震イベントのうち 191 のイベントが LSG で検出されていることがわかった。 また、代表的な月震である深発月震、 浅発月震の両方で LSG を加えることで震源の決定精度の向上が見られた。 これは LSG を用いることで過去の月震データセットを改善できる可能性を示しており、 さらには改善されたデータセット用いて月の内部構造モデルを見直す必要があることを示唆するものである。
2009-02-09 Jun Kimura ISAS/JAXA presentation
なぜ衛星の中でガニメデだけが磁場を持つのか?: 磁場発生条件から内部構造を制約する
木星系探査計画ガリレオの最も重大な成果のひとつは, 衛星ガニメデにおける固有磁場の発見だった. これは金属核起源のいわゆるダイナモ磁場と考えるのが最も調和的とされているが, 一方でガニメデの内部に関しては (核の有無も含めて) そもそも層構造が良く分かっていない. 例えば,核サイズはその組成次第で半径 600-1200 km という非常に粗い制約しかできない. この大きな不確定性の中で, いかなる構造でも金属核がダイナモ (対流) 運動するかどうかは自明ではない. そこで本研究では内部熱史の数値モデルを構築することで, 第一にガニメデの核で磁場が生じ得ることを理論的に確認し, 第二に磁場が発生する条件を使って内部構造に制約を与える. そして時間があれば,掲題の少々大仰な疑問についても議論の手を伸ばしてみたい. まだ明確な答えは出てませんが.
2009-02-16 Yosuke Inoue Titech B4 presentation
月惑星探査機に搭載する CdTe ガンマ線検出器の評価
月惑星表層の岩石はその天体が経験してきた結晶分化過程の情報を持っており、 表面の元素組成を知ることは、月惑星の形成過程を理解する上で重要である。 元素の放射崩壊や宇宙線と表層物質との相互作用により発生するガンマ線は その元素固有のエネルギーを持っており、 そのエネルギーを測定することで元素を同定することができる。 これまで Ge 半導体を用いたガンマ線検出器が優れたエネルギー分解能を発揮している。 しかし Ge は液体窒素温度でないと作動せず、そのため冷凍機を用いて冷やさなければならない。 これは衛星搭載の条件である軽量化、小型化、省電力化には不利である。 そこで近年では、 Ge に匹敵するエネルギー分解能を持ちながら常温でも動作が可能であるCdTeの開発が進められている。 現在、開発段階である CdTe 半導体検出器の試作品が完成しており、 本研究ではその試作品のエネルギー分解能と温度特性について評価を行った。
2009-02-16 Yusuke Kobayashi Tokyo Univ. M1 new paper review
Compositional and temporal investigation of exposed lunar basalts in the Mare Imbrium region, Roberto Bugiolacchi and John E.Guest, Icarus 197 (2008) 1-18.
月の熱進化を解明するには、流出したマグマの組成、年代を知ることが重要である。 そこで著者は、月の表側にある2番目に大きな玄武岩領域である Mare Imbrium の岩石組成と地質年代の地域的な違いを細かく分類することで 右記の手がかりを得ようとしている。 彼らは Clementine UVVIS の高解像度データを使用し、 これまでよりも細かい TiO2 と FeO の含有量地域差をもとめ、 さらに Lunar Orbiter IV mission データを用いたクレータカウンティングによる年代測定を行っている。 彼らの手法による Mare Imbrium の解析結果について報告する。
2009-02-23 Yasuhiro Yokota ISAS/JAXA presentation
かぐや SP, MI データを用いた月の測光関数解析
可視・近赤外域での月面の明るさは、 光源・月面・観測者の配置 (幾何学条件) に応じて変化する。 この光散乱特性は測光関数 (Photometric function) と呼ばれるモデルで記述される。 月の測光関数研究は次の二つの目的で重要である。 第1に、かぐや MI, SP のような多色・分光観測データから地質・鉱物組成を議論する上では 測光関数による幾何学条件の基準化処理が必要だからである。 第2に、測光観測からレゴリス表層の状態 (粗さ等) を知るためである。 ただし、従来モデル自体にまだ検証すべき点や不十分な点があり、これも研究要素である。 本講演では、測光関数の基礎部分を説明するとともに、 SP データを用いた月高地の測光関数 (特に位相角依存性) の解析状況を報告する。 ただ、経過報告だけでは今いち興味をひかないだろうから、 可能ならば、従来モデルをどう改良したいかの展望も話してみたい。 時間が許せば、MI の地形補正とその改良検討についても紹介したい。

March

2009-03-02 Kazunori Ogawa ISAS/JAXA presentation
惑星探査機軌道上の放射線によるX線 CCD の性能劣化と蛍光X線観測への影響の検討
放射線 (ここでは主に陽子) の照射によってX線 CCD の性能が劣化することが知られている。 これは陽子の衝突によって半導体内に格子欠損が確率的に生成され、 それに起因して CCD の電荷転送非効率の増加、また暗電流の増加が起こり、 最終的にエネルギー分解能の悪化として表面化するものである。 惑星探査機の軌道上での陽子被ばくがX線 CCD にどのように作用するか詳細を検証するため、 SELENE 月フェージング軌道での陽子フラックスを想定してX線 CCD への陽子線照射実験を実施した。 これの結果を中心に、 実際の惑星探査で陽子被ばくがX線 CCD の性能および蛍光X線の元素分析に与える影響、 その対応策などを議論する。
2009-03-09 Junichi Haruyama ISAS/JAXA presentation
SELENE (かぐや) /LISM による、月 Swirl の研究にむけて
月の表面には、不思議な渦巻き模様 (Swirl) が存在する。 そして興味深いことに、この Swirl の多くは磁気異常を伴っている。 その成因については、 1) 彗星のダストが月表面を掠め、下層のフレッシュな層が露呈した、という説や、 2) 磁気異常が、ミニ磁気圏を形成し太陽風衝突を妨げ、 結果宇宙風化の度合いが異なったというものがある。 今回、LISMでこれらの地域にどうアプローチしていくかについて、 現在考えていること、初期解析結果などを紹介し、議論したい。