Solid State Planetary Science Group Seminar
2008 first half

Tue 9:30-12:00 @ISAS A-5F conference room

Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, Hayakawa, and Okada Laboratory,
Planetary Science Group,
Institute of Space and Astronautical Science,
Japan Aerospace Exploration Agency.

- Everyone is welcomed -

For students: セミナーの心得 (PDF)

April   -   May   -   June   -   July   -   August   -   September

April

2008-04-22 Yusuke Kobayashi Tokyo Univ. M1 presentation
「すざく」衛星による超新星残骸 Vela Jr. での 44Ti 輝線探査 (学部卒研発表)
超新星爆発による元素合成メカニズムをX線観測から探る手段として Sc-Kα 線 (4.086, 4.091 keV) の観測がある。 Sc-Kα 線は、重力崩壊型の超新星爆発において、内部に落ち込む領域と、 外部にはじき飛ばされる領域の境界 (mass cut) 付近にて生成される 44Ti が、 K殻の電子を捕獲して 44Sc に原子核崩壊する際に放出される。 この Sc-Kα 線の観測は、熱的に励起され緩和放出されるX線ではなく、 原子核崩壊を直接見ている。 そして、Sc-Kα 線のフラックスから 44Ti の合成量を求め、 超新星爆発、元素合成への制限を得ることができる。 44Ti の半減期は 60 年であるので、 Sc-Kα 線をとらえるためには、若くて近い超新星残骸を観測する必要がある。 Vela Jr. は温度が低く (kTe = 0.09 and 0.24 keV)、 年齢は ∼680 yr、距離は ∼200 pc であるので Sc-Kα 線の観測に適した天体と言える。 また、これまでに ASCA、XMM-Newton、Chandra 衛星により Vela Jr. の北西リムに Sc-Kα 線の存在が示されてきた。 そこで今回我々は、バックグラウンドが安定しており、 他のX線衛星よりも感度が高い「すざく」のデータを用いて Vela Jr. 北西リムの Sc-Kα 線探しを試みた。 その結果、北西リム全体では有意な Sc-Kα 線の検出はなく、 4.09 keV ラインの上限値は 1.2 × 10-6 ph/cm2/s/keV と求まった。 今回はこれらの結果に加え、リムを細分化した領域でのフラックスについても報告する。

May

2008-05-13 Kazunori Ogawa ISAS/JAXA presentation
月面地質X線分析のための小型X線源の開発
固体惑星表層の元素・鉱物組成は、 天体の地質学的進化過程、起源などを推定する上で必要不可欠な情報である。 蛍光X線分析 (XRF) は、試料の元素・鉱物組成を決定するための有効な手段である。 本研究では、将来的な月着陸ミッションでの使用を想定し、 惑星表層X線分析の一次X線源として使用する宇宙用小型X線管球の基礎開発を行っている。 これまで、 カーボンナノチューブ電界放射を用いた新しい機構を採用した小型・省電力モデルの試作機を製作し、 動作試験を行ってきた。 今回は、研究の背景と開発現状を中心に報告する。
2008-05-13 Yasuhiro Yokota ISAS/JAXA presentation
かぐや LISM データ解析での SPICE 活用例
惑星探査データ解析には天体や探査機の位置・姿勢の計算が頻出する。 米国JPLの NAIF (The Navigation and Ancillary Information Facility) が開発した SPICE ソフトウェアシステムは、このような計算に有用である。 衛星軌道や姿勢情報が SPICE フォーマットのファイルに変換されていれば、 SPICE のライブラリ関数を用いて容易に読み取りと計算が可能である。 かぐや LISM (Lunar Imager/SpectorMeter; 月面撮像/分光機器) では、 運用立案やデータ解析の各過程でこのシステムを利用している。 本発表では現在進行中の LISM データ解析を中心として、SPICE の活用例を紹介する。
2008-05-20 Takahiro Iwata ISAS/JAXA presentation
かぐや RSAT/VRAD ミッションによる月重力場探査
Lunar Gravity Observations by RSAT/VRAD Mission of KAGUYA
宇宙測地技術を用いた月重力場探査は、月の地殻厚さやコアの物理量等、 表面探査からは知ることのできない月内部の状態を推定するのに有用である。 従来の探査では、月周回機の軌道を、 2way (地上局 → 宇宙機 → 地上局) の電波の遅延・ドプラシフトを利用した距離・距離変化率計測 (RARR) により計測し、 その摂動から重力場分布が調べられてきた。 ところが月の自転は月−地球系の公転に同期していることから、 月の裏側の軌道は縁辺部が高度の高い衛星から求められるに過ぎず、 特に重力場係数の高次側の推定には Kaula の拘束条件が仮定されてきた。 また表側の縁辺部も、軌道に対する摂動の方向が視線方向に直交しているため、 RARR での測定精度は粗かった。 この限界を克服するため、SELENE の RSAT/VRAD ミッションでは、 子衛星 Rstar 及び Vstar を用いた 4 way ドプラ計測と多周波位相遅延相対 VLBI により、 グローバルかつ高精度の重力場観測を実現した。 本セミナーでは、その原理を解説するとともに、 観測結果から得られた月二分性への示唆について述べる。
2008-05-20 Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 presentation
土星衛星 Iapetus に見られるアルベド二分性の起源について
土星の衛星 Iapetus には Leading side にアルベドの低い領域が存在することが知られている。 この領域のスペクトルの類似性から、 Iapetus の暗い物質は他の衛星から放出された物質が起源と考えられているが、 どの衛星から飛来してきたか理解できていない。 まずこの研究を進めるに当たって、 アルベドの低い物質の降り積もったときの空間分布を理解することが重要である。 本セミナーではこれまでの仮説を整理し、今後の研究のアプローチの方法を紹介する。

June

2008-06-03 Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 presentation
かぐや RSAT/VRAD ミッションにおける Line-of-Sight (LOS) 加速度データによる重力場解析
LunarProspector (LP) ミッションでは、 月のグローバルな重力場が球面調和展開としてあらわされている。 LP ミッションでは月の裏側の直接的なトラッキングデータがなく、 その影響が球面調和展開では月の表側にも出てしまう。 その問題を解決するため、衛星の地球からの視線方向の加速度データを、 直接月表面での重力値に変換する解析法、Line Of Sight (LOS) 解析の手法がとられた。 本研究では、LOS 解析を SELENE の重力場解析にとりいれる。 SELENE では月の裏側での軌道の直接的な観測がなされているが、 そのデータカバレッヂには地域的な偏りがあり、 その影響が球面調和展開において出てしまう。 そこでデータカバレッヂの多い地域を LOS で解析することで精度を改善し、 月の裏側でのローカルな重力異常を議論していく。
2008-06-10 Tatsuaki Okada ISAS/JAXA presentation
蛍光エックス線の粗表面での影響の考察
惑星表面から放射されるX線蛍光の強度は表面粗さ・角度によって影響を受ける。 NEAR シューメーカーが観測した主要元素組成はX線ではHコンドライトに近く、 ガンマ線や可視近赤外では L か LL コンドライトに近いという結果となったが、 その違いの有力な解釈としてこの効果が挙げられている (Okada, LPSC 2004, ほか)。 これまで主に実験的アプローチで現象論的に調査してきたが、定式化を始めている。 その進捗状況とアイディアを報告する。 表面凹凸の影響は電波 (Hagfors)、光 (Hapke) などで詳しく調べられてきたが、 X線で惑星探査用には十分研究されていない。 われわれのところで10年来やってきたが、 今、蛍光X線観測の精度が向上したことで世界的に重要な研究対象と認識されるようになった。
2008-06-17 Taichi Kawamura Tokyo Univ. M2 new paper review
SIMS U-Pb study of zircon from Apollo 14 and 17 breccias: Implications for the evolution of lunar KREEP,
A.A. Nemchin, R.T. Pidgeon, M.J. Whitehouse, J.P. Vaughan, and C. Meyer,
Geochimica et Cosmochimica Acta 72 (2008) 668-689.
Zircon は KREEP に富んだマグマから晶出することが知られており、 その形成年代を調べることで月面での KREEP に富むマグマの噴出の履歴を知ることができる。 本論分では Apollo 14 と Apollo 17 のサンプルの zircon の年代分布を SIMS (二次イオン質量分析計) を用いた U-Pb 分析を用いて測定した。 その結果、年代分布が二つの地点で異なることが分かった。 このことは PKT における KREEP に富んだマグマの噴出が時間と共に縮小していったことを示唆し、 さらに Apollo 14 サンプルの結果からはこのマグマの噴出が断続的であった可能性を示すものである。 これまで月面での断続的な火成活動は考慮されておらず、 この結果は月の火成活動を考える上で重要な制約となる。
2008-06-24 Kyoko Okudaira ISAS/JAXA presentation
エアロジェルを用いた宇宙塵捕獲の科学について
シリカエアロジェルはその特異な物性 (極低密度のアモルファス SiO2 固体、可視光に対し透明、など) のため、 これまでいくつかの宇宙ミッションにおいて超高速固体微粒子の捕獲材として利用されてきた。 本セミナーでは、サンプルリターンミッションの意義、 エアロジェルの特性および捕獲のメカニズム、 エアロジェルを用いたミッション (NASA・スターダスト、たんぽぽ (ISS での日本のアストロバイオロジーミッション) 等) の紹介、 これまでの研究成果などの紹介を行う。

July

2008-07-01 Tokuhiro Nimura Tokyo Univ. D3 presentation
宇宙風化を受けたレゴリスの可視・近赤外反射スペクトルモデル
宇宙風化作用とは、大気がない固体天体表面に宇宙線、太陽風、 および (微小) 隕石が衝突することによって生じる効果の総称である。 この宇宙風化により、 固体 天体表面の可視・近赤外反射スペクトルは暗化・赤化・吸収帯の弱化が生じるために、 固体 天体表面の岩石・鉱物・化学組成を見積もることを困難にしている。 そこで、宇宙風化が 可視・近赤外に与える影響を考えるために、 宇宙風化モデルを構築した。 本発表では、はじめに宇宙風化モデルの説明を行い。 その後、アポロ月試料への適用を行う。 内容は Nimura et al. (2008) によるものである。 その後、この宇宙風化モデルに修正ガウス関数モデルを組み込んだモデル構築への取り組みを発表する。
2008-07-15 Mizuho Matsumura Tokyo Univ. M2 new paper review
The effect of the internal structure of Mars on its seasonal loading deformations,
Laurent Métivier, Özgur Karatekin, and Véronique Dehant,
Icarus 194 (2008) 476-486.
火星では、CO2 の昇華と凝縮が繰り返され、季節的な質量変化があり、 それは表面変形と重力の時間変化を引き起こす。本論文では、これらの変化を調べ、 周回衛星への影響を計算し、火星での荷重変形による地殻の厚さの不均一性を調べる。 その変形が、重力に 0.5% ほどの影響を与えることが示された。
2008-07-22 Hisataka Morito Tokyo Univ. M2 new paper review
Hydrocarbons on Saturn's satellites Iapetus and Phoebe,
Cruikshank, Dale P.; Wegryn, Eric; Dalle Ore, C. M.; Brown, R. H.; Bibring, J.-P.; Buratti, B. J.; Clark, R. N.; McCord, T. B.; Nicholson, P. D.; Pendleton, Y. J.; and 17 coauthors,
Icarus 193 (2008) 334-343.
アルベドの低い物質は外側の太陽系で多く見つかるが、 土星衛星系では高いアルベドをもつ氷と共に存在し、非常に興味深い。 2004 年 12 月 31 日に土星衛星イアペタスへ flyby した際、 低アルベド地域の近赤外スペクトルを得た。 3.29 µm を中心とした 3.0-3.6 µm までの広い吸収帯を示し、 これが多環芳香族炭化水素 (PAH) のC-Hによるものだと確認した。 また、脂肪族炭化水素の -CH2- による弱いバンドも確認。 さらに、イアペタスよりは弱いが、フェーベでも芳香族炭化水素のバンドを示した。 これら二つの衛星上の PAH 分子の起源はわからないが、 PAHs は炭素質隕石、彗星の塵、星間塵などで見つかっている。
2008-07-22 Kyoko Kawakami Tokyo Univ. M2 presentation
観測によって明らかになった、小惑星 1999JU3 の姿
小惑星 1999JU3 は、 日本が計画しているC型小惑星のサンプルリターンミッション「はやぶさ2」のターゲット天体である。 我々は 2007 年 5 月から 2008 年 4 月まで観測キャンペーンを行い、 可視〜中間赤外の測光・分光観測のデータを得た。 特に可視測光観測は 59 晩ものデータが取得され、 ここまで集中的に観測された小惑星は非常に少ない。 本発表では自転周期、自転軸の向き、 形状など一通り明らかになった 1999JU3 の物理情報を報告する。 またバックアップ天体探しとして、 探査機が到達しやすい軌道にある小惑星のサーベイ観測を行ってきたので、 それについても発表する。
2008-07-29 Akio Fujimura ISAS/JAXA presentation
我が国のキュレーション設備の現状
(アブストラクトは別途お知らせ)
2008-07-29 Takefumi Mitani ISAS/JAXA presentation
小型衛星に搭載のガンマ線検出器の開発
近年の衛星観測により、Terrestrial Gamma-ray flashes (TGFs) と呼ばれる地球起源のガンマ線が広く知られるようになってきた。 これは、20 keV - 20 MeV のガンマ線が ∼1 msec という短時間に放出されている現象で、 雷放電に起因すると考えられている。 この発生機構に迫るために、我々は、 シンチレーション検出器とアバランシェフォトダイオード (APD) を利用し、 数 MeV までのガンマ線を計測できる検出器の開発を進めてきた。 本発表では、この検出器の紹介と小型衛星の搭載機器として進めてきた試験、評価を紹介する。

August

2008-08-26 Yusuke Kobayasi Tokyo Univ. M1 new paper review
Secondaty and Sesquinary craters on Europa,
K. Zahnle, J.L. Alvarellos, A. Dobrovolskis, and P. Hamill,
Icarus 194 (2008) 660-674.
イオ、エウロパ、ガニメデへの彗星衝突の二次的作用によるエウロパの小規模クレータの起源を主眼点として、 イオ、エウロパの衝突クレータに焦点を当てる。 ちなみに Zunil によって形成された二次クレータの起源についても述べる。 Zunil はよく研究された火星のクレータで、イオの衝突クレータと類似がある。 我々のモデルは観測された火星とエウロパの小規模クレータのサイズ頻度分布をうまく再現した。 しかしながら、そのモデルは、 エウロパの 200-500 m 半径のかなりの部分のクレータは従来の二次クレータではなく、 そのかわりに、木星軌道中に放たれたイオからの衝突噴出物による sesquinary クレータであると予測している。 この予測は観測により立証されてはいないということは、 高速の破片は普通は sesquinary クレータを作る小さなかけらに分裂することを暗示している。 イオ起源の玄武岩はさらに興味深い。なぜなら、それらは、 原則として氷の歴史的移動の跡をたどるのに使われるエウロパの層位を与えたり、 エウロパ表面の放射年代決定に適した物質を与えるからである。

September

2008-09-02 Kyoko Kawakami Tokyo Univ. M2 new paper review
Which are the dwarfs in the Solar System?
2006 年 8 月、IAU は太陽系の惑星について新しい定義を採択し、「準惑星」という分類を作った。 準惑星とは、十分な質量があり、自己重力によって静水圧平衡を保っており、 他の天体を取り込んだりはじき飛ばしたりしていない天体のことである。 しかし天体のサイズなど、具体的な準惑星の区分基準が作られていないため、 本論文では理論と観測によって準惑星になれる最低質量を見積もった。 また、小惑星と TNO において、観測から得やすい直径と形状の情報から、 準惑星かどうかを判断する基準を作成した。 現在のところ、4天体が準惑星に定義されているが、 サイズの大きい TNO の観測データをまとめて、 新たに1つの岩石質天体と、12 の氷天体を準惑星候補とした。
2008-09-08 Taichi Kawamura Tokyo Univ. M2 presentation
LSGを用いた深発月震、未分類月震の初期解析
アポロの月震観測データは月の内部構造の推定において、最も重要な情報源の一つである。 本研究では従来のアポロの月震観測データに加えて、アポロ17号に搭載された月面重力計、Lunar Surface Gravimeter(LSG) のデータを用いた月震波解析を試みてきた。 これまでの研究でHigh Frequency Teleseismic(HFT) と呼ばれる比較的規模の大きな月震イベントの解析からLSGが月震計として機能しており、 月震波解析に利用可能な精度で月震波シグナルを捉えていることを確認した。 最新の解析ではHFT以外の月震イベントに注目し、深発月震や未分類月震といったシグナルの小さな月震イベントについて、LSGデータの利用の可能性を検証した。 本発表ではこれらの深発月震や未分類月震の初期解析の結果と今後の解析の方針について報告する。
2008-09-22 Junichi Haruyama ISAS/JAXA presentation
2008-09-29 Yuichi Iijima ISAS/JAXA presentation