Planetary Science Group Seminar
2006 first half

Wed, 9:00-12:00

Japan Aerospace Exploration Agency
Institute of Space and Astronautical Science
Planetary Science Group
Kato, Fujimura, Tanaka, Iwata, and Hayakawa Laboratory

- Everyone is welcomed -
Mail: ogawa(@)planeta.sci.isas.jaxa.jp

For students: セミナーの心得 (PDF)

April   -   May   -   June   -   July   -   August   -   September


April

April 19 Masatsuna Iwasaki presentation Titech M1
チベット空気シャワーコア検出器開発: FPGA を用いたトリガー回路
Development of Tibet Air shower detector: Trigger circuit using FPGA (学部卒論発表)
我々チベット空気シャワーグループは、 現在までに空気シャワー観測装置と空気シャワーコア-観測装置を連動させた実験により 宇宙線を構成している全粒子と陽子・ヘリウム原子核のエネルギースペクトルについて観測を行った。 しかし、宇宙線の化学組成は陽子から鉄までにおよび幅がある。 そこで、我々は次期連動実験として、 主に鉄の原子核を観測することを目的とした検出器開発を進めている。 今回の開発では FPGA (Field programmable gate array) を用いたトリガーロジック回路を作成し、 現在実際の実験で使用しているモジュールと比較し、 その回路の性能を評価した。
April 19 Shota Ono presentation Tokyo Univ. M1
超小型人工衛星の熱制御系設計時における解析手順の確立 (学部卒論発表)
所属した研究室では超小型人工衛星開発プロジェクトを推進しており、 "SEEDS" と銘打たれた人工衛星の打ち上げ待機中である。 衛星に搭載される機器には、その機能、性能を満足して正常に動作させるための適切な温度範囲が存在する。 それ故、許容温度範囲を満たす適切な温度環境が維持されることが求められる (熱制御系の役割)。 今回開発された SEEDS も同様であり、 本来ならば熱制御系の要求条件を満たすように設計されなければならない。 しかし、今回の開発においては、時間や設備の制約から、 温度試験と簡単な熱解析のみしか行われてこなかった。 他方、研究室では現在、次期衛星の開発を目指す SRROUT Project が立ち上がっている。 当然 "SEEDS" の開発経験が、今回の開発において重要な役割を果たすことになる。 しかし、熱制御系に関しては、前述の理由から、その役割を十二分に果たせないことが予想される。 本研究では、その役割を補完するモデルを確立し、 次期衛星の熱制御系設計において一助となることを目指した。
April 26 Taku Yamamoto presentation Tokyo Univ. M1
銀河団におけるスニャエフゼルドビッチ効果の研究: 光学的深さが大きい場合のシミュレーション
The study of the Sunyaev-Zeldovich Effect for Clusters of Galaxies: the simulation for the case of high optical depth (学部卒論発表)
現在、宇宙空間は絶対温度約 3 度の宇宙背景放射と呼ばれる光子で満たされている。 これは、ベル研究所の研究員であった、アルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンによって発見された。 宇宙背景放射の報告を受け、 1969 年ロシアの 2 人の宇宙物理学者、 スニャエフとゼルドビッチが宇宙背景放射に関する重要な予言をした。 それは、「銀河団中の高温プラズマにより、 コンプトン散乱を受けた宇宙背景放射はエネルギーが高められ、 プランク分布からずれるために、 銀河団方向からの宇宙背景放射の強度が変化して見える」という予言であった。 この効果こそ、私の研究テーマであるスニャエフ・ゼルドビッチ効果そのものである。 この効果は距離のパラメータを含まないので、非常に遠方まで観測が可能であり、 ハッブル定数の測定として、銀河団のスニャエフ・ゼルドビッチ効果の観測結果を用いる方法が、 近年大きな進展を見せている。 この方法は、銀河団を球形と仮定すること以外には経験法則を用いることなく、 物理学の基礎法則を用いるだけで、ハッブル定数を決定することができるという大きな利点を持っている。 私は、モンテカルロ・シミュレーションを用いて、光学的深さと電子温度をパラメータとし、 様々な条件におけるスニャエフ・ゼルドビッチ効果の解析をした。 これらの研究成果について報告する。
April 26 Hajime Hayakawa presentation ISAS/JAXA
火星からの大気流出
Atmospheric escape from Mars
地球型惑星からは大気が流出している事が観測されているが、 その流出のメカニズムは夫々の惑星で異なっており、 大気流出が惑星大気の変遷、惑星周辺環境へ与える影響も夫々の惑星で異なる。 このうちの火星では大気量が少ない事もあり、 大気の変遷を考える上で星間空間への流出は無視が出来ない量であると考えられている。 火星大気の流出に関する興味・問題点などを観測データを基に紹介する。
Escape of the atmospheric component from the Earth-like planets is observed. But the different mechanisms are expected to work for different planet and the effects to the evolution of the atmosphere and/or environment surrounding the planet are also different. Among the Earth-like planets, atmospheric escape from the Mars is considered as important process for evolution of the atmosphere. Topics relate to the atmospheric escape will be introduced.

May

May 10 Jun Takita presentation Tokyo Univ. M2
アポロ HFE データアーカイブ計画と月表層熱物性の決定
1970 年代のアポロ月探査計画で行われた熱流量測定実験 (HFE) のデータベース作成計画を去年の 11 月から行っている。 現時点で入手可能なデータの全てを集め、 ALSEP (Apollo Lunar Seismic Experiment) の work テープ中にアーカイブされている HFE データの抽出及び物理量変換 (温度への変換) に初めて成功した。 いま現在この中のデータのうち相対温度データに着目し、 月表層付近の熱物性決定を試みている。 月表層の熱物性の決定は地上実験の難しい低重力・高真空下での砂礫 (レゴリス) の熱物性の推定と考えることができ、 例えば小惑星等、低重力の天体の表層熱物性としてこの結果を適用できるものと期待される。 これまでのところ、使うべきデータの入手と解析コードの開発をしてきており、 今後月表層熱物性のモデリングを行い研究を進めてゆく予定である。
May 10 Kyoko Okudaira new paper ISAS/JAXA
Stephan T., Butterworth A. L., Snead C. J., Srama R., and Westphal A. J., TOF-SIMS Analysis of Aerogel Picokeystones - An Analogue to Stardust's Interstellar Dust Collection, 37th LPSC, 2006
スターダストの星間塵試料を模擬して 20 km/s でエアロジェルに撃ち込まれた 0.5 µm 粒子のトラック (衝突孔) を TOF-SIMS で分析した。 トラックに沿って非一様に分布する粒子の残留物は、 TOF-SIMS で位置の特定と元素同定が可能である。
May 24 Toru Yada presentation ISAS/JAXA
南極宇宙塵中から見つかった先駆太陽粒子
ある種の隕石や宇宙塵などの始源的な惑星物質を見ると、 主要及び微量元素の同位体比が 5-6% 以下のレベルで均質な太陽系物質は 99.9% 以上を占める。 これは原始太陽系において、汎太陽系規模の物質の均質化が起こったことを示す証左だと考えられている。 しかし、始源的惑星物質の残り 0.01% 程度については、 地球比の 50-1000% 以上という大きな同位体異常を示す。 一部の例外を除いて、それらは太陽系誕生以前に存在した恒星の 晩期に形成・放出された先駆太陽粒子だと考えられている。 これら先駆太陽粒子の元素同位体比は恒星内部の核合成過程を反映しており、 今日、宇宙で起こっている「重元素汚染」の現場から来た試料として非常に興味深いものである。 また、その始源惑星物質中における存在度は、 その母天体の原始太陽系星雲中での集積環境における物質の均質度を知る上でのパラメーターとなり得るため、 太陽系形成過程の解明の鍵としても有用である。 このお話では、昨年報告された、南極宇宙塵中から初めて発見された先駆太陽粒子について概要を述べ、 上述の背景からその意味について考えてみる。
May 24 Tokuhiro Nimura new paper Tokyo Univ. D1
Kenneth A. Farley, David Vokrouhlický, William F. Bottke, David Nesvorný, A late Miocene dust shower from the break-up of an asteroid in the main belt, Nature 439, 295-297, 2006
地球には、小惑星や彗星の破片である直径 1-1000 µm の惑星間ダスト微粒子 (IDP: interplanetary dust particles) が降り注いでいる。 本論文は、海底堆積物から天体衝突の証拠を見つけたものである。 IDP は 3He に富んでいるため、海底に堆積する 3He の濃度は、 降り注ぐ IDP とその母天体に影響を及ぼした主なイベントを地質学的な時間尺度で調べる手段となる。 そして、8.3 ± 0.5 Myr 前に Veritas 族を形成した直径 150 km を超える小惑星の衝突破壊が、 地球に降り注ぐ 3He (IDP) を一時的に増加させたことがわかった。 増加は、8.2 ± 0.5 Myr 前にはじまり、最大で、それまでのレベルの約 4 倍になり、 約 1.5 Myr でもとのレベルとなった。 後期中新世の間、地球への IDP の降着率は、Veritas 族の破片が支配的であった。 他のこのような現象は、過去約 108 年にわたって 主小惑星帯の軌道では起こってないと推定される。
May 31 Itsuki Sakon presentation Tokyo Univ. D2
宇宙空間に漂う塵と赤外線観測
宇宙空間には原子ガス、分子ガスの他に、 1 ナノメートルから数ミクロンのサイズの塵 (ダスト) が漂っており、 これらは、星からの紫外線のエネルギーを吸収し、 熱放射や特徴的な格子振動のプロセスを通じて吸収したエネルギーを解放する。 こうした熱放射や格子振動に対応するエネルギーは、 波長にしてちょうど赤外線の領域にくるため、 星間におけるエネルギー収支を理解するためには、 ダストの放射の赤外線観測が重要となる。 しかしながら、地上からの観測によっては得られる赤外線の情報はごく限られており、 10 ミクロン帯(7-13 µm )と 20 ミクロン帯 (18-30 µm) でしか 有効なデータが得られない状況にあった。 1980 年台に入って、赤外線衛星 IRAS の登場以降、 宇宙からの赤外線観測が可能になると、 地上からは得られなかった赤外波長域のデータがもたらされ、 ここ20年間で飛躍的に赤外線天文学が進展している。 日本は、1995 年に 15 cm の赤外線宇宙望遠鏡 Infrared Telescope in Space (IRTS) によって全天の 7% の領域の近赤外〜遠赤外にかけてのデータを取得することに成功し、 貴重なデータベースを得ることに成功した。 特に、ダストの研究の分野においても、 ベンゼン環を含む炭素系のダストが我々の銀河の星間ダスト中に普遍的に存在することを明らかにしたり、 また、黄道光の中間赤外スペクトルについても貴重なデータをもたらすなど大きな成果を挙げた。 本講演では、地上の望遠鏡を用いた赤外線観測をはじめ、IRTS, ISO, SPITZER などの 宇宙からの赤外線観測の最新の結果をダストの研究の観点から議論し、 2005 年 2 月 22 日に打ち上げられた赤外線衛星「あかり」へと発展される 赤外線天文学のトピックについて紹介する。
May 31 Chikatoshi Honda new paper ISAS/JAXA
Jeffrey S. Kargel, Enceladus: Cosmic Gymnast Volatile Miniworld, Science, vol. 311, 10 March, 2006
The exploration of Saturn by the Cassini/Huygens mission has yielded a rich collection of data about the planet and its rings and moons, in particular its small satellite Enceladus and giant satellite Titan. Once believed too small to be active, Enceladus has been found to be one of the most geologically dynamic objects in the solar system. Among the surprises are a watery, gaseous plume; a south polar hot spot; and a surface marked by deep canyons and thick flows.

June

June 7 Kenichi Tamura presentation Tokyo Univ. D2
「すざく」衛星による硬X線観測と 10 年後の硬X線観測
最近の宇宙観測では、電波からガンマ線に至る多波長の帯域に渡って、 高精度な観測がなされる時代になってきた。 しかしながら、10-100 keV に至る硬X線領域は、 天体からの放射が熱的から非熱的に移り変わって、 観測できる物理現象が一変する重要な境目であるにも関わらず、 未だに高精度な観測は実現していない。 硬X線領域では、天体からの放射強度が小さい上に、 バックグラウンド除去が難しかったためである。 そこで我々のグループでは、井戸型のアクティブシールドと、 パッシブなコリメータで主検出部を覆って、 徹底したバックグラウンド除去を実現する、 硬X線検出器 (HXD) を開発し、昨年打ち上げた「すざく」衛星に搭載した。 本講演では、第一に、HXD の紹介と、銀河中心や超新星残骸の話題を中心に、 HXD の登場によって初めて開けるサイエンスの紹介をする。
さらに、銀河中心のような複雑な領域を高い精度で観測するためには、 分角を切る分解能で硬X線の撮像分光を実施することが理想的である。 我々が HXD でほぼ確立した、半導体による硬X線の検出手法を最大限活かし、 さらに角度分解能を持たせるためには、 半導体に付加する電極をピクセル状に区切ることが有効である。 サブミクロン CMOS テクノロジーを用いたアナログ ASIC (大規模集積回路) は、 200 µm 角という微小なピクセルサイズでかつ、 数千を超えるチャンネルを持つ検出器素子からの信号を読み出すために 不可欠な新しいシステムである 。 そこで我々は、10 年後に硬X線の高感度な撮像観測を実現することを狙って、 100e- (@ 0 pF、入力換算) という雑音レベルを目標に掲げ、 アナログ ASIC の開発を進めてきた。 本講演では、第二に、アナログ ASIC の利点と難しさの紹介に加えて、 我々が開発するアナログ ASIC の現状の報告をする。
June 7 Yoko Maruyama new paper Tokyo Univ. M2
William F. Bottke, David Nesvorny, Robert E. Grimm, Alessandro Morbidelli, and David P. O'Brien, Iron meteorites as remnants of planetesimalsformed in the terrestrial planet region, nature vol 439, 821-825
Most iron meteorites come from the main asteroid belt, but the available evidence does not tell us whether their parent bodies actually formed there. A combination of thermal, collisional and dynamical models has been used to show the iron-meteorite parent bodies probably formed in the terrestrial planet region. These precursors melted and fragments were scattered into the main belt early in Solar System history. Some asteroids today, such as 4 Vesta, are likely to be main-belt interlopers. This scenario suggests the main belt may also contain long-lost precursors of Solar System planets.
June 14 Yuki Sarugaku presentation Tokyo Univ. D3
Numerical Simulation of the Comet 2P/Encke Dust Trail
We have observed Comet 2P/Encke in visible wavelength since 2002 using Kiso 1.05-m telescope and University of Hawaii 2.24-m telescope. The 2P/Encke trail was detected at 5 different epochs, and was successfully observed almost simultaneously with a observation by Spitzer Space Telescope in 2004. We estimated the scattering phase function and the albedo of dust trail particles from the result of the observations, and it was found that the phase function of trail particles was similar to that of the 2P/Encke nucleus rather than tail particles. However, a problem of the assumption for number density of trail particles remained to be discussed further. Recently, we have been performing a numerical simulation of the orbital evolution of trail particles to solve the problem. In this seminar, I will show the progress of the simulation.
June 14 Kazunori Ogawa new paper Titech D2
B. Sallé, D. A. Cremers, S. Maurice, R. C. Wiens, and P. Fichet, Evaluation of a compact spectrograph for in-situ and stand-off Laser-Induced Breakdown Spectroscopy analyses of geological samples on Mars missions, Spectrochimica Acta B 60, 805-815, 2005
近年、レーザー技術の目覚ましい発展によってレーザー発信器の小型軽量・省電力化が進み、 レーザーをプローブとして用いる元素組成分析装置 Laser-Induced Breakdown Spectroscopy (LIBS) が注目を浴びるようになってきている。 NASA が 2009 年に打ち上げ予定の次期火星ローバ探査機 Mars Science Laboratory (MSL) は 惑星探査機として初めて LIBS を搭載する計画である。 この分析装置の最大の特徴は 1-20 m 程度遠方のサンプルに対する遠隔分析が可能なことで、 従来の元素組成分析器と比較してなお幾つかの利点を持つことから 今後の惑星探査における主要な搭載機器となる可能性がある。 該当の論文は、火星表面を模擬した環境で LIBS による岩石試料の元素分析を行い、 検出限界、精度などを評価している。 これを通して LIBS の特徴と性能を把握したい。
June 21 Tomoka Inoue new paper Tokyo Univ. M2
M. Yanagisawa, K. Ohnishi, Y. Takamura, H. Masuda, Y. Sakai, M. Ida, M. Adachi, and M. Ishida, The first confirmed Perseid lunar impact flash, Icarus 182, 489-495, 2006
The first confirmed lunar impact flash due to a non-Leonid meteoroid is reported. The observed Perseid meteoroid impact occurred at 18h28m27s on August 11, 2004 (UT). The selenographic coordinates of the lunar impact flash are 48 ± 1 ◦ N and 72 ± 2 ◦ E, and the flash had a visual magnitude of ca. 9.5 with duration of about 1/30 s. The mass of the impactor is estimated to have been 12 g based on a nominal model with conversion efficiency from kinetic to optical energy of 2 × 10-3. Extrapolation of a power law size-frequency distribution fitting the sub-centimeter Perseid meteoric particles to large meteoroids suggests that several flashes should have been observed at this optical efficiency. The detection of only one flash may indicate that the optical efficiency for Perseid lunar impact is much lower, or that the slope of the size distribution differs between large meteoroids and typical sub-centimeter meteoric particles.
June 21 Kouhei Kitazato new paper Tokyo Univ. D2
D. Nesvorný, B. L. Enke, W. F. Bottke, D. D. Durda, E. Asphaug and D. C. Richardson, Karin cluster formation by asteroid impact, Icarus, In Press, Corrected Proof, Available online 2 May 2006
Here we describe our initial study of the Karin cluster, a young asteroid family that formed 5.8 × 0.2 Myr ago in the outer main belt. To date, we have performed more than 100 hydrocode simulations of impacts with non-rotating monolithic parent bodies. We found good fits to the size-frequency distribution of the observed fragments in the Karin cluster and to the ejection speeds inferred from their orbits. Our current work suggests that the parent asteroid of the Karin cluster may have been an unfractured (or perhaps only lightly fractured) monolithic object.
June 28 Katsuhisa Furuichi presentation Kobe Univ. M2
月 α 線観測のバックグラウンド量の見積もり
SELENE 搭載 α 線検出器 (ARD) は、 希ガスであるラドンの崩壊時に発生する α 線および ラドンの娘核の崩壊による α 線を観測する。 ラドンは希ガスという性質から月面からの degassing 現象を、 ラドン α 線強度の増加として捕えることができると考えられる。 SELENE ARD では、有効面積を大きくすることによって多くの α 線カウントを得ることと 宇宙線による BG を減らすことによって、 これまでの観測では無理だった、 一時的な α 線強度増加や昼と夜の強度変化なども見ることができると期待される。 発表では、宇宙線による BG のうち月面で反射された低エネルギー粒子 (観測に影響する) の量を、 シミュレーションによって見積もったのでその結果を述べる。

July

July 5 Takehiko Arai presentation Sokendai D3
惑星探査用蛍光X線分光計のデータ解析手法の開発
固体惑星の表層物質を定量的に決定する手段として蛍光線分光観測が有効である。 本研究では、HAYABUSA や SELENE 搭載蛍光X線分光計の解析手法で有効となる 誤差の導出法と初期値の設定手法を新たに開発した。 本発表では、それらによって得られるデータの定量分析精度と応用例としての機上処理法を紹介する。
July 26 Ryuhei Yamada presentation Tokyo Univ. D3
ペネトレータ搭載用月震計による月震の観測
本研究では、ペネトレータに搭載できる月探査用短周期地震計の開発を行い、 その観測性能評価を実施してきた。 観測性能評価の一つとして、 月面貫入衝撃以上の衝撃を与えたペネトレータ内の地震計を用い、 地動観測を実施した (2006)。 アポロでの観測より、 月面で最も多く発生している深発月震は地球での地震イベントと比較して、 極微小な振動である事が分かっている。 そこで観測場所は、 そこの常時微動の振幅レベルが地震計の固有周波数付近 (1 Hz) で、 大きな深発月震の振幅レベルに相当する静かな場所を選んで、 試験を実施している。 ここでは、ペネトレータでその微小振動を観測した結果と評価結果についての報告を行う。 また、現在、ペネトレータ搭載用月震計を月面に設置して観測を行った場合、 アポロでの月震観測と比較して、どの程度月震イベントを観測できるか、 その検証を行っている。 ここでは、現在までの検証結果についても報告を行う予定である。

August

August 11 (Fri) Yasuhiro Yokota presentation ISAS/JAXA
10-1 km スケールにおける月面の「粗さ」
月の地形の「粗さ」を場所ごとに知ることは、 月高地内の区分 (年代やクレータ放出物の層序関係など) を調べるうえで有用と期待できる。 現在我々は、アポロ月面ステレオ写真から月面のデジタル地形モデルを作成し、 10-1 km スケールにおける月面の粗さを定量的に表す手法を検討中である。 その現状を紹介する。
August 11 (Fri) Yasuyuki Saito presentation Tokyo Univ. D2
アポロ熱流量観測結果の再解析: 現存する全データのアーカイブと熱流量値の下方修正
アポロ計画によって、月の表面熱流量の直接観測が行われた。 観測の開始日は Apollo 15、17 号でそれぞれ 1971 年 7 月 31 日、1972 年 12 月 12 日である。 この観測は 1977 年 9 月 30 日に、地上からのコマンドにより、 データ送信が停止されるまで継続された。
Langseth and Keihm (1976) は 1974 年 12 月 29 日までのデータ解析を行いて 月表面熱流量値を決定しており、1975 年以降の観測データは未解析である。 今回、我々は 1976 年 3 月 1 日から 1977 年 9 月 30 日までの熱流量観測データの入手に成功し、 データアーカイブと物理量変換に成功した。 このデータに、既に解析されているデータを加えて解析を行った結果、 月熱流量値はこれまで考えられていた値の、約 4 分の 1 になる可能性が示された。 月熱流量値が改訂されれば、月の熱史、起源論に影響を及ぼすことは避けられず、 今後は十分な注意を払って解析を行う必要がある。
August 23 Masatsuna Iwasaki new paper Titech M1
Keiichi Wada, Eiichiro Kokubo, and Junichiro Makino, High-resolution simulations of a moon-forming impact and postimpact evolution, Astrophysical Journal, 638, 1180-1186, 2006
In order to examine the "giant impact hypothesis", we run the first grid-based, high-resolution hydrodynamic simulations of an impact between proto-Earth and a protoplanet. The spatial resolution for the impact-generated disk is greatly improved from previous particle-based simulations. This allows us to explore the fine structures of a circumterrestrial debris disk and its long-term evolution. We present some new opinion for the formation of the moon.
August 23 Shota Ono new paper Tokyo Univ. M1
Hiroshi Takeda, A. Yamaguchi, D. D. Bogard, Y. Karouji, M. Ebihara, M. Ohtake, K. Saiki, and T. Arai, Magnesian anorthosites and a deep crustal rock from the farside crust of the moon, Earth and Planetary Science Letters, Volume 247, Issue 3-4, p.171-184, 2006
An lunar meteorite Dhofar 489 is the most depleted in Th, FeO, and REE. It is a crystalline matrix anorthositic breccia and includes clasts of magnesian anorthosites and a spinel troctolite. The Mg / (Mg + Fe) mol% of olivine and pyroxene grains in Dhofar 489 are higher than those of the Apollo ferroan anorthosites. Remote sensing data suggest that the estimated concentrations of Th and FeO are consistent with the presence of such samples on the farside. The presence of magnesian anorthositic clasts still offers a possibility the farside trend and may require a revision of this classical differentiation trend. The Ar-Ar age of Dhofar 489 is 4.23 ± 0.034 Gyr. The old Ar-Ar age of impact formation of this breccia and the presence of a fragment of spinel troctolite of deep crustal origin suggest that a basin forming event on the farside and magnesian anorthosites before formation of Imbrium.
August 30 Yasuyuki Saito new paper Tokyo Univ. D2
Malapaka Shivakumar and N Bhandari, Capture of interplanetary bodies in geocentric orbits and early lunar evolution, J. Earth Syst. Sci. 114, No. 6, December 2005, pp. 601-607
During the accretion of planets such as Earth, which are formed by collisional accretion of planetesimals, the probability of capture of interplanetary bodies in planetocentric orbits is calculated following the approach of Hills (1973) and the n-body simulation, using simplectic integration method. The simulation, taking an input mass equal to about 50% of the present mass of the inner planets, distributed over a large number of planetoids, starting at 4My after the formation of solar system, yielded four inner planets within a period of 30My. None of these seed bodies, out of which the planets formed, remained at this time and almost 40% mass was transferred beyond 100AU. Based on these calculations, we conclude that -1.4 times the mass of the present inner planets was needed to accumulate them. The probability of capture of planetoids in geocentric orbits is found to be negligible. The result emphasizes the computational difficulty in "probability of capture" of planetesimals around the Earth before the giant impact. This conclusion, however, is in contradiction to the recent observations of asteroids being frequently captured in transient orbits around the Earth, even when the current population of such interplanetary bodies is smaller by several orders of magnitude compared to the planetary accumulation era.
August 30 Taku Yamamoto new paper Tokyo Univ. M1
Paul S. Hardersen, Michael J. Gaffey, Edward A. Cloutis, Paul A. Abell, and Vishunu Rebby, Near-infrared spectral observations and interpretations for S-asteroids 138 Tolosa, 306 Unitas, 346 Hermentaria, and 480 Hansa, Icarus 181 (2006) 94-106
S 型小惑星に分類される 138 Tolosa、306 Unitas、346 Hermentaria、480 Hansa の近赤外スペクトルは、 これらの小惑星表面に様々な量の orthopyroxene ± clinopyroxene ± olivine ± plagioclase feldsper が存在していることを表している。 これらのスペクトルは、過去に行われた orthopyroxene、clinopyroxene、 olivine の混合物の実験結果と比較され、 バンドパラメタを定量化し、温度も正しく修正された。 結果、4 つの S 型小惑星は全て、普通コンドライトの近赤外スペクトル、 推測された鉱物存在度・輝石の化学的性質に対して不一致の形を表したため、 普通コンドライトが母天体ではないと考えられる。 さらに、これらの S 型小惑星は少なくとも部分溶融する温度 (950 °C 以上) を、 初期太陽系形成時の間に経験したことを示している。 分光研究を続けることで、コンドライトの相対的な存在度や、 S 型小惑星の中の物質の熱的進化を明確に理解できるだろう。

September

September 13 Jun Takita Tokyo Univ. M2 new paper review
C. Ferrari, P. Galdemard, P.O. Lagage, E. Pantin, and C. Quoirin, Imaging Saturn's rings with CAMIRAS: thermal inertia of B and C rings, Astronomy and Astrophysics 441 (2005) 379-389.
Thermal inertias of Saturn's B ring and C ring particles have been derived from infrared observations using the CAMERAS camera mounted on the Canada-France-Hawaii Telescope. They are respectively about 5 and 6 Jm-2K-1s-1/2. Such low values might be characteristic of a frosty and porous regolith fractured by cracks or of very porous particle aggregates. A large azimuthal asymmetry with an amplitude about 1 K is detected on the West ansa of the B ring. It cannot be explained by a model that considers the ring as a slab of low thermal inertia rapidly warming up to the sunlight after its planetary shadow.
September 13 Tatsutoshi Inoue Tokyo Univ. M2 new paper review
M. Mueller, A.W. Harris S.J. Bus, J.L. Hora, M. Kassis, and J.D. Adams, The size and albedo of Rosetta fly-by target 21 Lutetia from new IRTF measurements and thermal modeling, Astronomy and Astrophysics 447 3 (2006) 1153-1158.
Recent spectroscopic observations indicate that the M-type asteroid 21 Lutetia has a primitive, carbonaceous-chondrite-like (C-type) surface composition for which a low geometric albedo would be expected; this is incompatible with the IRAS albedo of 0.221 ± 0.020. From new thermal-infrared spectrophotometric measurements and detailed thermophysical modeling we infer that Lutetia has a diameter of 98.3 ± 5.9 km and a geometric albedo of 0.208 ± 0.025, in excellent agreement with the IRAS value. We can thus rule out a low albedo typical of a C-type taxonomic classification. Furthermore, we find that Lutetia's thermal properties are well within the range expected for large asteroids; we find no evidence for unusually high thermal inertia.
September 20 Tatsuaki Okada ISAS/JAXA new paper review
A. Khan, J. Maclennanm S.R. Taylor, and J.A.D. Connolly, Are the Earth and the Moon compositionally alike? Inferences on lunar composition and implications for lunar origin and evolution from geophysical modeling, Journal of Geophysical Research 111 (2006) 21.
アポロ月震データ、月の質量や慣性能率の最新値で インバージョンにより月内部構造モデルの最適値を算出し、 その結果から月の起源・進化について議論する。 地殻・マントルの組成は CFMAS (CaO-FeO-MgO-Al2O3-SiO2)、 コアの組成は Fe-FeS と仮定、 地殻・マントル・コアの化学組成は均質とし、 地殻厚さ、コア半径を仮定する。 各深さにおいて温度・圧力条件に見合うような熱的状態、元素組成、鉱物組合せ、 密度、P波速度、S波速度を求め、観測値で妥当性を評価する。 結果は、マントルの 80 wt% は OL + OPX、 深さ 200 km 程度には Garnet も現れる。 Mg# は 0.83 程度で、地球 (0.89 = Pyrolite 的) に比べて低い。 340 km 程度の小ぶりな金属コアが妥当。
長い論文なので、抜粋して紹介する。 地球の場合は無数の地震観測網から内部構造を決められるが、 月惑星の場合はそうはいかないので、今回挙げるような道筋で行う。 道筋を提案する論文。 結果は面白いが、そもそも現在得られる情報では仮定の信頼性が低いので、 結果は塗り替えられると思うべし。
September 27 Naoyuki Yamashita Waseda Univ. presentation
SELENE ガンマ線分光計による月表面元素の観測
大気がない、もしくは希薄な天体は銀河宇宙線を励起源としてガンマ線を放出するため、 天体表面 (< ∼100 g/cm2) を構成する元素について情報を得ることができる。 SELENE 搭載用ガンマ線分光計 GRS は、主検出器として Ge 検出器を採用し、 Apollo や Lunar Prospector で使用された分光計と比較して 20 倍以上の高エネルギー分解能を持つ。 これにより、Fe, Mg, Ti, Th, K, U, Al, Ca, Na, Si, O, H といった多数の元素を月全表面にわたって観測する計画である。 本発表では、ガンマ線検出原理と GRS の性能を review し、 ガンマ線分光の利点・欠点を議論することを目的とする。 同時に月ガンマ線のシミュレーション結果を示し、 GRS により期待される成果について述べる。